CASE1保育園
家づくりの延長で木造のZEBに挑戦
NPOこどもサポート・みんなのおうち(熊本県大津町)
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7寸(210mm)角の大黒柱に、アカマツの床。木をふんだんに使った木造の保育園が2020年9月に完成した。熊本県大津町のNPO法人「NPOこどもサポート・みんなのおうち」だ〔写真1~3〕。平屋建ての建物には、3歳未満の児童を対象とする小規模保育園と運営者である同法人の事務所が入る。
〔写真1〕建材・設備は住宅仕様
中央に7寸(210mm)角の大黒柱を配した保育室。開口部の窓やエアコンなど建材と設備機器のほとんどは住宅用を採用した(写真:エコワークス)
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〔写真2〕地域産材を中心に木材を使う
玄関ホール。床にはアカマツのムク材を使用。構造材のほとんどに地元の熊本県産材を用いている。各室との間仕切りは半透明の引き戸とした。戸を引き込むと廊下周りの空間が一体化する(写真:エコワークス)
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〔写真3〕傾斜屋根を組み合わせ
エントランスを設けた西側の外観。園児と保護者は右奥の園庭から建物に出入りする。事務室の上部に当たる片流れ屋根に12.6kWの太陽光発電設備を設置。主に自家消費する(写真:エコワークス)
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躯体や内装に木材を用いた建物は、高い省エネルギー性能を備える。熊本県内で初めて、BELS(ベルス)(建築物省エネルギー性能表示制度)の「一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナス」となるZEB(ゼブ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の評価を受けた。
設計と施工は、戸建て住宅を主に手掛ける住宅会社のエコワークス(福岡市)が担当した。同社では、着工棟数の9割をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が占める。「非住宅の新築は初めてだったが、普段の家づくりの延長で計画した。玄関の自動ドアを除き、建材や設備機器もほとんど住宅用のものだ」。同社の岡本博執行役員部長はそう話す。