「木造賃貸アパートは、多くの人にとって『自分で選ぶ初めての住宅』になる。そうした住宅の高断熱・高気密化を図り、快適な環境を体感してもらえるようにしたい」。2020年9月に完成した「パティオ獅子ヶ谷」は、設計したスタジオA建築設計事務所(東京都港区)の内山章代表の意欲が結実したアパートだ〔写真1〕。
屋根に合計厚さ150mm、外壁に厚さ66mmのフェノールフォーム断熱材を充填し、開口は全てLow-E複層ガラスの樹脂サッシを採用した。外皮平均熱貫流率UAは0.46W/m2K。ハイグレードな高断熱住宅の指標であるHEAT20(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)のG2グレードに相当する。換気には熱交換式第一種換気設備を導入し、換気に伴う室温の変化を抑える。
建て主の岩崎興業地所(横浜市)は、同市鶴見区を中心に不動産の賃貸と売買を手掛ける。「賃貸アパートで温熱環境の良さを売りにできるかを検証する試み。全4戸という小規模な建物なので実験的に挑戦した」と、岩崎祐一郎専務は話す。