白く塗装した内装に、北欧のビンテージ家具がゆったりと並ぶ。2019年12月に開業した複合宿泊施設「haluta hakuba」の室内は、凛(りん)とした雰囲気を漂わせている〔写真1〕。同時に、写真では見えない特徴もある。例えば冬でもほんのり体を温める穏やかな“空気感”だ。
運営するのは、北欧のビンテージ家具や建材の輸入販売などを手掛けるハルタ(長野県上田市)。子会社のハルタ建築設計事務所(同)が設計を担当した。「北欧と比べ、日本の建物の温熱環境は快適でない。これまで戸建て住宅の設計を通して北欧の生活環境を日本に導入してきたが、そうした取り組みを宿泊施設に展開した」(ハルタの徳武睦裕代表)
外張り断熱に用いたロックウールや木製アルミ複合サッシは、いずれもデンマーク製だ。これらを組み合わせて外皮平均熱貫流率UA0.22W/m2Kという高い外皮性能を確保した。空調は、熱交換式第一種換気と除湿型放射冷暖房(一部は放射暖房)で構成している。夏の湿気や冬の過乾燥を防ぎつつ、室内の空気を整えるのが狙いだ。