家づくりの仕事はどこから現在に至り、これからどこへ向かうのか──。日経ホームビルダーが創刊した1999年から、ミレニアムの区切りを経てほぼ22年が過ぎた。その間、社会的ニーズを背景に、住宅実務を取り巻く環境は大きく変化。「ミレニアム前後の時点で、住宅産業はどのような実態だったか」「その後、技術や法制度、社会的ニーズなどはどう変わったか」日経ホームビルダーが時代々々に注目してきた出来事や事象を振り返り、「現在地」の実相から「少し先の未来」を考察してみる。記事末尾には創刊以来の主要記事一覧も掲載した。

家づくりの軌跡が示す「未来」への道筋
目次
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サバイバル競争の幕開け
住宅建設を取り巻く市場環境と法制度が激変する最中の1999年初夏、日経ホームビルダーは創刊した。中小工務店、地域住宅会社は生き残りをかけた選択と競争を迫られる時代に直面。まずは当時の状況を振り返る。
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構造 耐震性底上げの追求はまだ道半ばの実態
日経ホームビルダー創刊から22年。その間、家づくりの環境は技術・ノウハウから住宅産業の経営課題まで、社会的ニーズを背景に大きく変わった。たどり着いた現在の「新常識」とは?──。項目別に整理する。
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雨漏り対策 軒ゼロなどの事故増え内部結露対策とも接近
過去30年間を振り返ると、戸建て住宅の外壁の雨漏り対策は大きく様変わりした。最大のポイントは、通気工法、透湿防水シート、乾式工法の“3点セット”が現場に定着したことだ。
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省エネ 「基準超え」が増えるも実務者の対応は二極化
日経ホームビルダーが創刊した1999年、国は省エネルギー基準を改定し、外皮性能基準を強化した。この「次世代省エネ基準」(平成11年基準)から現在まで、法律が新築住宅に求める外皮性能のレベルは同じだ。ただし、省エネ基準の指標は2013年前後を境に大きく変わった。
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自然災害 地盤への関心高まり暴風雨は難題を提示
この20年余の間に住宅被害をもたらした自然災害を俯瞰(ふかん)すると、被害棟数は阪神大震災と東日本大震災が突出し、熊本地震や新潟県中越地震が続く。そうした震災に加えて近年は、非常に強い風の「暴風台風」と豪雨が目立ってきた。2018年の台風21号と19年の台風19号は、住宅損害の保険支払い金額でも東…
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法制度・判例 規制強化が進みプロの責任さらに重く
通称「2000年改正」。日経ホームビルダー創刊の翌年、2000年に施行された改正建築基準法は、家づくりに欠かせない行政手続きである建築確認制度を大きく変貌させた。
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経営環境 新築市場の縮小が続き現場の人手不足は加速
新設住宅着工戸数は1999年度の約123万戸から2019年度には約88万戸へと、20年間で約3割も減少。1999年度時点で、直近のピークだった96年度の約163万戸から3年間で約4分の3になっていた市場は、その後も縮小し続けた。
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変化に負けない柔軟さ磨く
新築市場の縮小や担い手減少のトレンドは、今後も抜本的な回復を見込めない。地域に根差す工務店が次代に進むうえで欠かせないポイントとは?──。現在までの変化から、少し先の「未来」を考える。
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日経ホームビルダー記事一覧(抄) 1999.2~2021.4
初めて世にお目見えした1999年2月号試作版から、今号まで264冊──。これまでに日経ホームビルダーが掲載してきた主要記事のタイトルを一覧形式でまとめて紹介する。記事タイトルから、20年余の間に日経ホームビルダーが注目した住宅産業の課題や問題、出来事が鮮やかに浮かび上がってくる。