過去30年間を振り返ると、戸建て住宅の外壁の雨漏り対策は大きく様変わりした。最大のポイントは、通気工法、透湿防水シート、乾式工法の“3点セット”が現場に定着したことだ〔写真1〕。
30年前は、防水紙のアスファルトフェルトにラスを留め、直接モルタルを吹き付ける湿式工法が一般的だった。しかし、1993年に乾式工法の代表格、窯業系サイディングがモルタルに代わって外装材シェアのトップに躍り出る。当初は、防水紙にサイディング材を直接張り付ける直張り工法が主流だったが、90年代後半から透湿防水シートと胴縁をセットに壁内の通気を確保する現在の形に定着した。
通気工法の導入で壁内の雨水滞留リスクも抑制され、雨漏りトラブルは大幅に減るかと思われた。しかし、現実はそう簡単ではなかった。
保険事故の9割以上が雨漏り
住宅瑕疵担保責任保険の保険金が支払われた事故物件の発生原因をみると、雨水の浸入は全体の約93%を占める〔図1〕。今なお、雨漏りのトラブルは住宅実務者にとって最大の懸念事項だ。
加えて、住宅実務者の雨漏りに対する法的責任も重くなっている〔図2〕。99年以前、木造住宅の瑕疵担保責任期間は引き渡しからわずか1年間だった(当時の民間連合協定工事請負契約約款の規定)。
それが2000年の品確法施行で雨水浸入などの瑕疵担保責任は10年間に延びた。さらに、11年の最高裁判決で、民法上の不法行為責任に基づく損害賠償の対象に「漏水」が含まれるとの判断が示された。不法行為の時効(除斥期間)は20年間。引き渡しから20年にわたり、雨漏りの欠陥責任を問われる時代が到来した。