日経ホームビルダーが創刊した1999年、国は省エネルギー基準を改定し、外皮性能基準を強化した。この「次世代省エネ基準」(平成11年基準)から現在まで、法律が新築住宅に求める外皮性能のレベルは同じだ。ただし、省エネ基準の指標は2013年前後を境に大きく変わった〔図1〕。
まず09年に、気密性能を示すC値(相当隙間面積)が基準の指標から外された。13年には外皮の断熱性能を示す指標がQ値(熱損失係数)からUA値(外皮平均熱貫流率)に変わり、一次エネルギー消費量の指標が登場した。「外皮性能の向上」「住宅内設備のエネルギー消費量の削減」を2本柱とする現在の省エネ住宅の考え方は、この時点で整えられた。
外皮、一次エネで多様な指標
関連する法制度も改変を重ねた。00年、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に基づく住宅性能表示制度が始まり、次世代省エネ基準相当の外皮性能を「等級4」とした。03年には、改正建築基準法で24時間換気を義務化した。目的はシックハウス対策だが、24時間換気に伴う熱損失や空気の流れの扱いは、住宅の高断熱・高気密化で無視できないテーマとなった。09年に住宅トップランナー制度と長期優良住宅制度を導入。長期優良住宅は断熱性能の等級4を認定条件にした〔図2〕。
「省エネ基準を超えたレベル」を目指す官民の指標も相次いで登場した。外皮性能では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の要件になる強化外皮基準、さらに上位の指標となる「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」(HEAT20)のG1・G2・G3グレードなどだ。一次エネルギー消費量では、16年に住宅でも建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)が始まった。現行の省エネ基準より高い性能について、一次エネルギー消費量等級5に相当する「3つ星」から、ZEHの条件となる「5つ星」までが設定された〔図3〕。