韓国光州市で建設中の39階建て高層マンションの一部が崩落した。現地では施工不良が崩落につながったとの見方が強まっている。崩落の様子を捉えた映像などから、日本の専門家が事故の原因を分析した。
朝鮮半島の南西部に位置する韓国光州市の中心部で1月11日午後4時前、建設中の鉄筋コンクリート(RC)造39階建て高層マンションの一部が崩落する事故が発生した。複数の韓国メディアによると、38階から23階までの壁や床などが崩れ落ちた。崩落の原因は分かっていない。1月18日正午時点で作業員1人の死亡が確認されているが、5人が行方不明のままだ〔写真1、図1〕。
マンションを施工していたのは韓国の建設大手HDC現代産業開発だ。光州市は1月12日、HDC現代産業開発が市内で進めている全ての工事に中止命令を発出。翌13日には「安全性の確保なしに工事を再開することはない」と表明した。
市は崩落事故を起こしたマンション建設現場について、専門家による調査を実施し、建物の安全性が確保されないと判断した場合は解体が必要になるとの考えを示している。また、市が推進する事業において一定期間、HDC現代産業開発を参加させない措置を検討するとした。
行方不明者の捜索は難航している。市は1月20日、崩落で傾いたタワークレーンを解体すると発表した。クレーンの高さは約140m。ブレーシングで建物に固定されているものの、上端部にはカウンターウエイトと呼ばれる重りなど27トンの重量物が付いているため、危険な状態だ。
クレーン解体時は、現場から半径79m以内を危険区域として、解体作業者以外の立ち入りを禁止する。市は不安定なクレーンを解体することによって、さらなる崩壊が発生するリスクを低減し、捜索を強化する考えだ〔写真2、図2〕。