新庁舎の工事請負契約解除を巡る滋賀県近江八幡市と奥村組の紛争で、2月8日に和解が成立した。市が奥村組に対して4億600万円を支払う内容だ。争点だった逸失利益の額については市の主張が通る結果となった。
多額の解決金が発生することになったが、将来的な負担抑制に必要な経費だ──。近江八幡市の小西理市長はこのようなコメントを出し、市民に理解を求めた。
事の始まりは、2018年に遡る。奥村組は18年1月、近江八幡市庁舎の新築工事を現庁舎の解体などを含めて81億2000万円(税別)で落札。同年1月末に着工し、20年1月の開庁を目指して工事を進めていた〔写真1、図1〕。しかし、現市長の小西氏が18年4月の市長選で、規模が大きく、ライフサイクルコストがかかりすぎるとして新庁舎の建設中止を公約の1つに掲げて当選。就任日の同年4月25日に、奥村組に工事請負契約の解除を伝え、工事は中止された。
これを受けて奥村組は18年10月、同社の過去3年間の決算における売上総利益率の平均値を基に、契約額である81億2000万円の11.1%相当の約9億円が逸失利益に当たるとの考え方を示し、損害賠償に関する協議を市に申し入れた。