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静岡市の公共事業で問題が相次いでいる。市歴史博物館の建設事業では計画変更通知をせず工事に着手。市は2月4日に謝罪した。市発注の雨水ポンプ場の工事でも3回にわたって法令違反が発覚する異常事態だ。

 徳川家康の生涯などを紹介する静岡市歴史博物館は、総事業費62億円を投じて静岡市が進める目玉事業の1つだ。設計はSANAA(東京都江東区)、工事監理は同社と市歴史文化課が担っている〔図1〕。

〔図1〕静岡市歴史博物館は2023年1月の開館を予定
〔図1〕静岡市歴史博物館は2023年1月の開館を予定
静岡市歴史博物館の外観イメージ。建物は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の地上4階建てで、延べ面積約4900m2。敷地は駿府城公園付近。JR静岡駅から600mほどの場所だ(資料:静岡市)
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 工事は2023年1月の開館に向けて順調に進んでいるはずだった。ところが、22年に入って異例の事態に見舞われている。計画変更通知を怠って工事着手していたことや、不燃材料を使用すべき一部の壁や天井に準不燃材料を使用していたことが相次いで明らかになったのだ。

 問題が発覚したのは1月13日。2階の常設展示室の工事で、間仕切り壁を支えるための鉄骨柱11本を、変更通知をせずに施工していたことが、市建築指導課と市歴史文化課、SANAAの3者が協議をしていた際に判明した。展示室の工事は乃村工芸社が担当している。市は鉄骨柱を翌14日に撤去し、2月3日に計画変更通知の手続きを取った。

 20年10月に確認済み証の交付を受けた当初計画には、展示室内の間仕切り壁は含まれていなかった。建築基準法18条では、国や都道府県、建築主事を置く市町村が確認を受けた建築物の計画を変更する場合、軽微な変更を除いて改めて計画通知を実施し、確認済み証の交付を受けるよう義務付けている。

 協議に同席していた市建築指導課の本間拓朗副主幹はこう話す。「当初計画で決まっていなかった展示室の詳細が確定すれば変更通知が必要になる可能性があると、市歴史文化課とSANAAに伝えていた。手続きを要するか否かを含めて事前に我々に相談すべきだった」

 市歴史文化課文化施設整備室の原田敬好室長は次のように釈明する。「事前に相談したうえで、必要な場合は手続きをしなければならないという認識はあった。しかし、現場サイドとの工程に関する情報共有不足で、手続き前に工事が進んでしまった」