2021年2月13日午後11時7分ごろ、福島県沖を震源とする最大震度6強の揺れが東北地方を襲った。東日本大震災の「余震」とみられる。建物倒壊などはなかったものの、外壁や天井の落下、ガラスの破損といった被害が多発した。非構造部材を含めた耐震性の確保が、改めて課題として突き付けられた。
「10年前は、この部分はほとんど壊れなかったのだけれど……」。JR郡山駅近くに立つ郡山市中央図書館で片付けなどに当たっていた小野浩幸館長は、残念そうにつぶやいた。
2月13日の地震により、この施設では前面道路に面した南側を中心として鉄筋コンクリート(RC)造の躯体に大きなひび割れが生じ、外装タイルが剥落した。屋内でも仕上げ壁やガラスの間仕切りの割れなどが見つかっており、建物に相当の変形が生じたことを物語る。郡山市では震度6弱が観測された〔写真1、2、図1〕。
3階建てのこの施設は、2011年3月11日の東日本大震災で天井落下などが発生、復旧工事を余儀なくされた。市は17年に約2億7000万円を投じて耐震改修工事を実施したが、今回破損した南側の柱などは震災で損傷しなかったことから、補強対象とはなっていなかったという。
施設整備を担当する郡山市建築課の門澤学課長補佐は、「耐震補強のおかげで全体としては被害が抑えられた」とみる。今回被災した箇所について、市は補修とともに今後、改めて対策を検討する方針だ。
屋内では書架の転倒は避けられたが、蔵書の多くが床に散乱し、職員は地震発生翌日から片付けに追われた。施設は臨時休館しており、「再開スケジュールは見通せない」と小野館長は語る。