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中国の湖北省武漢市で新型コロナウイルス専門病院として、着工から10日後に稼働を開始した「火神山医院」〔写真1〕。延べ3万3900m2、ベッド数1000床の巨大施設が瞬く間に出来上がっていく様子は世界を驚かせた。

〔写真1〕ユニットハウスを組み合わせた火神山医院
〔写真1〕ユニットハウスを組み合わせた火神山医院
火神山医院の全体像。施設は2階建てで、1病棟(2フロア分)当たり約80人を収容できたとみられる(写真:新華社/アフロ)
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 日本で中国・武漢市の「火神山医院」と同様の施設を短工期で建てることは可能か。日経クロステックが多くの病院整備で建設コンサルタントを務めてきたプラスPM(大阪市)に分析を依頼した。

 プラスPMコンストラクション・マネジメント(CM)部の馬渡康隆氏は、用地取得や人員確保、法的条件をクリアできるという前提の下、「火神山医院の建設過程を写真や映像で検証すると、日本でも同じような医療施設を突貫工事で建てることは、技術的には可能だ」と言う。

 馬渡氏は、「火神山医院の構造は、建設現場で作業員の休憩所などに利用される『ユニットハウス』を組み合わせたつくりだ」と説明する。市場に在庫の多い一般的な部材を用いるため、施設の建設そのものは、さほど難しくない〔図12〕。

〔図1〕「くしの歯状」の配置で工期を短縮
〔図1〕「くしの歯状」の配置で工期を短縮
建設コンサルタントのプラスPMが推計した火神山医院の規模。縦横比が2対1となるユニットハウスを規則的に並べて施工の効率を上げた(資料:プラスPMの資料を基に日経クロステックが作成)
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〔図2〕2階建ての病棟が13棟
〔図2〕2階建ての病棟が13棟
火神山医院の断面図を再現したもの。設備スペースを外壁側に設け、完成後のメンテナンスが容易にできる仕組みになっていたようだ(資料:プラスPMの資料を基に日経クロステックが作成)
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 中国メディアによると、火神山医院のプロジェクトが動き始めたのは1月23日。設計図面は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)に対応するため1週間で北京市に建てられた「小湯山医院」に倣った。同日夜には建設予定地に多数の重機が搬入され、土地の高低差をならすための土工事が始まった。

 作業は昼夜を問わず進行した。4日目から5日目にかけて基礎部分のコンクリートを打設したようだ。「現場の写真から、基礎コンクリートは無筋とみられる。セメントの種類や配合、気温にもよるが、多少の傾きを気にしなければ12~15時間後に建築物を施工できる」と馬渡氏は言う。実際、現場では着工から5日目の1月27日に、病棟の建設に着手した。

 プラスPMは、火神山医院の建設に用いられたユニットハウスのサイズを、日本の標準規格(長手5.7m、短手2.4m)と同程度の大きさで、縦横比が2対1となる「長手4.8m、短手2.4m」と類推した。このサイズなら、縦横の並列で施設を建設できる。

 ユニットハウスは梁を四隅の柱で支え、天井、壁、床にそれぞれパネルを取り付けた単純な構造。火神山医院は2階建てで、航空写真などで確認すると、病棟は13棟あったようだ。全体で1000床とすれば1病棟当たりの収容人数は約80人。病棟の1フロア(推定寸法は長手48m、短手16.8m)では約40人だとみられる。