全1539文字
PR

北海道釧路市の市立釧路総合病院の設計契約解除を巡り、発注者の市と設計者が互いに訴え合った建築訴訟で、釧路地方裁判所は3月22日、設計者側に1億円超の支払いを命じる判決を下した。設計者は控訴した。

 被告(設計者)は約1億3800万円を支払え。被告の反訴請求を棄却する──。

 釧路地方裁判所は3月22日、そんな主文で始まる判決を下した。判決は、市による契約期間内の契約解除を「有効」と判断。その理由として履行期限超過などの契約違反を事実認定し、市側の請求を全て認めた。支払いを命じた額は、市が前払いした設計料のうち約1億400万円の返還、市への違約金約3400万円の合計だ〔図1〕。

〔図1〕2015年から設計に着手したが……
〔図1〕2015年から設計に着手したが……
設計JVによる設計案の外観パース。実現に至らなかった責任を設計者が負うという1審判決に、設計者側は猛反発している(資料:共同建築設計事務所・武田建築設計事務所JV)
[画像のクリックで拡大表示]

 設計者は前払い金の返還はあり得ず、むしろ設計料の未払い分が約1億300万円に上ると主張して反訴したが、主文にあるように棄却を受けた。判決は訴訟費用について「設計者側の全額負担」ともしており、市の“全面勝訴"といえる結果となった。