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木材需給の逼迫で価格が高騰する「ウッドショック」に、住宅業界が強い危機感を抱いている。2021年3月に新設住宅着工戸数が21カ月ぶりの増加に転じるなか、注文した木材が現場に届かない状況が頻発している。

 「木材が現場に届かず、4月末の着工を延期した」「工事請負契約を済ませた住宅7棟分の製材費の損失が、350万円に達した」──。住宅会社からは、こんな悲鳴が上がっている。

 木材が供給不足に陥り、価格が高騰する「ウッドショック」に、住宅業界が震撼(しんかん)している。2021年3月ごろに影響が顕在化し、状況は悪化の一途をたどる。日刊木材新聞社の調査によると、木造住宅で多用されるベイマツ乾燥材正角の21年4月の販売店価格は7万8000円/m3で、半年間で44%も上昇した。

 ウッドショックは、コロナ禍で米国の新築住宅需要や増改築需要が高まったことを契機に発生した。北米材の需給が世界的に逼迫し、先物価格が上昇を続けるなか、追い打ちをかけたのが中国の経済回復に伴う木材需要増。世界的なコンテナ不足と、21年3月に発生したスエズ運河での大型コンテナ船の座礁事故によるサプライチェーンの混乱も重なり、日本向けの北米材と欧州材が原材料(原木やラミナ)もろとも供給不足の状態に陥った〔写真1〕。

〔写真1〕輸入材が供給不足に
〔写真1〕輸入材が供給不足に
「ウッドショック」の影響で輸入材が供給不足になり、木材価格が全般的に急騰している。写真はイメージ(写真:日経アーキテクチュア)
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 供給不足が最も深刻なのは、梁に用いる集成材と製材。輸入材の占める割合が高く、国産材の生産量が限られている部材だ。構造計算に関係するので、設計上も代替が容易ではない。プレカット会社からは「いつ現場に納品できるか分からない。1~2カ月先になるかもしれない」という声も聞かれる。