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全国有数の知名度を誇る観光地・熱海で、大規模な土石流が発生した。「主犯」と目されるのは、逢初(あいぞめ)川の源頭部で谷を埋めていた盛り土。事業者は施工中などに、行政から何度も指導を受けていた。

 静岡県熱海市の伊豆山地区で7月3日午前10時半ごろ、大規模な土石流が発生した。河口から北に約2km地点にある逢初川の源頭部から土砂が流下し、市街地を直撃。計131棟の建物が被害を受け、死者9人、行方不明者18人(7月11日午後2時時点)の惨事となった〔写真1~3〕。

〔写真1〕難航する救助活動
〔写真1〕難航する救助活動
土石流は複数回起こったとみられ、住宅や車などが押し流された。被災地には別荘が多く、安否不明者の確認作業も難航した。東京都大隊が7月5日撮影(写真:総務省消防庁)
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〔写真2〕延長約1km、最大幅約120mが被災
〔写真2〕延長約1km、最大幅約120mが被災
被害を受けたエリアは、土砂災害警戒区域に指定されていた。被災した範囲は延長約1km、最大幅約120mに及ぶ(写真:国土地理院)
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〔写真3〕源頭部の標高は約390m
〔写真3〕源頭部の標高は約390m
源頭部で崩壊した盛り土の様子。下流の砂防堰堤などで一部の土砂を捕捉したものの、大半の土砂は市街地に流れ込んだ(写真:静岡県)
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 静岡地方気象台によると、県内では6月30日午後6時ごろから7月3日午前5時ごろまで断続的に雨が降り続き、降水量は複数箇所で400mmを超えた。これは、平年の7月の1カ月分を上回る。土石流の発生当時、熱海市は5段階の警戒レベルで3番目に当たる「高齢者等避難」を2日午前10時に発令していた。