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住宅が次々に崩落する──。6月25日、大阪市西成区天下茶屋東2丁目の住宅地で空石積み擁壁が崩壊し、2棟(計4戸)の住宅が崩落する事故があった。焦点は、崖下の隣地で進められていた建築工事の影響だ。

 崩落事故は、南北に複数の住宅が連なる崖上の細長い土地で起こった。最初に崩落したのは、南から2番目に立つ、2戸がつながった連棟住宅だ。住人が異常を察知したのは6月25日午前6時ごろ。異音や玄関扉のゆがみなどに気づいて逃げ出したという〔写真1図1〕。

〔写真1〕崩落の様子を住民が崖下から撮影
〔写真1〕崩落の様子を住民が崖下から撮影
最初に崩落した連棟住宅。擁壁の上部が崩れ、徐々に傾きが大きくなり、崖下に落ちた(写真:住民提供)
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〔図1〕現場は崖上に住宅が連なる土地
〔図1〕現場は崖上に住宅が連なる土地
崩落現場とサ高住の建設現場、周辺の建物の位置関係。崖は急傾斜地崩壊危険箇所や急傾斜地崩壊危険区域には指定されていない(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 その後、近隣住民が、この住宅の敷地と道路の境界付近から水が漏れていると警察に通報。警察官が避難を呼び掛けていた午前7時40分ごろに擁壁が崩れ始め、連棟住宅が西側の崖下に地響きを立てながら転落した。約3時間後の午前10時34分には、北隣に立つ別の連棟住宅(2戸)も崩れ落ちた。崖上の住宅にいた3人は、事前に避難して無事だった〔写真23〕。

〔写真2〕南側の住宅のみ崩落を免れた
〔写真2〕南側の住宅のみ崩落を免れた
写真手前がサ高住の建設現場。中央が擁壁。右手(南側)の3階建て住宅は崩落を免れたが、7月6日に解体撤去された(写真:日経アーキテクチュア)
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〔写真3〕擁壁は上部から崩れたとみられる
〔写真3〕擁壁は上部から崩れたとみられる
南側の住宅は、基礎下の地盤と擁壁が崩落した。擁壁の建設年は不明。国土地理院の1936年撮影の空中写真に、この擁壁らしいものが写る(写真:日経アーキテクチュア)
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 崖下の敷地では、6階建てサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の建設に向けて掘削工事が進んでいた。事業主であるT.R.D.(大阪市)が大畑組(大阪府富田林市)に発注し、同社のグループ企業である石橋ワークス(大阪市)が1月25日から施工を進めていた。警察は崩落事故との関連を調べている〔写真4〕。

〔写真4〕北側の連棟住宅は事故前に撤去済み
〔写真4〕北側の連棟住宅は事故前に撤去済み
サ高住の工事が始まって間もない2月7日の様子。かつてはひな壇状の地盤に賃貸住宅が立っていた。擁壁の北側(写真中央)の住宅・土地(2戸分)はT.R.D.が買い取り、事故直前に撤去していた(写真:住民提供)
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