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米フロリダ州マイアミ近郊で発生した高層集合住宅の崩落は、死者・安否不明者が計約130人に上る惨事となった。築40年の古い建物とはいえ、先進国で建物が一気に崩れ落ちる被害は珍しく、原因に注目が集まる。

 米フロリダ州サーフサイドで現地時間の6月24日午前1時30分ごろ、海沿いの12階建て集合住宅「シャンプレイン・タワーズ・サウス」の東半分が突然崩落した〔写真12〕。

〔写真1〕未明の崩落で死傷者多数
〔写真1〕未明の崩落で死傷者多数
崩落したシャンプレイン・タワーズ・サウスで進む救助活動の様子(写真:Miami-Dade Fire Rescue)
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〔写真2〕海沿いに立つ築40年の集合住宅
〔写真2〕海沿いに立つ築40年の集合住宅
シャンプレイン・タワーズ・サウスでは、建物の東半分が崩れ落ちた。写真手前が東側(海側)(写真:Miami-Dade Fire Rescue)
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 7月10日時点で死者は86人。43人の安否が確認できていない。崩落を免れた部分はハリケーンの襲来に備えて4日に爆破解体された〔図1〕。

〔図1〕残った箇所は爆破解体
〔図1〕残った箇所は爆破解体
シャンプレイン・タワーズ・サウスと敷地の概要。敷地の地下はほぼ全面が駐車場となっていた(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 崩落したのは1981年に完成した鉄筋コンクリート(RC)造の集合住宅。全136戸のうち、東側の55戸が崩落したとみられる。敷地内にはプールがあり、地下は駐車場だった。

 集合住宅の南東側からカメラが捉えた映像は、最初に中央部分が崩れ落ち、続いて残された東側が崩落する様子を捉えていた。いずれの箇所も、崩れ始めてから一気に崩壊しているのが特徴だ〔図2〕。

〔図2〕カメラが捉えた崩落の瞬間
〔図2〕カメラが捉えた崩落の瞬間
崩落するシャンプレイン・タワーズ・サウスを、カメラが南東から捉えていた。まず中央部分が崩落し、残った東側もすぐに崩れ落ちた(資料:Andy Slater)
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 建築物の崩壊過程に関する研究で知られる筑波大学の磯部大吾郎教授は次のように分析する。「映像を見る限り、建物の下の方の構造要素が何らかの原因で壊れ、それをきっかけとして全体が崩れたような印象だ。2001年の同時多発テロで崩壊した米国の世界貿易センター(WTC)の場合、最初に上層階が壊れ、その衝撃がきっかけで建物全体が崩れたが、今回はその逆だと考えられる」