従来型のゼネコンの地位が低下する一方で、モジュール建築を手掛けるプレーヤーが成長を遂げるだろう──。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは6月に発表したリポートで、建設産業の激変を予言した。
建設産業における価値の源泉は「現場」から「工場」に移る──。経営コンサルティング大手の米マッキンゼー・アンド・カンパニーは6月に発表したリポート「The next normal in construction(建設産業のネクストノーマル)」で、熟練作業員の不足や安全・環境規制の厳格化、技術の進化などを背景として、建設業の「工業化」が世界的に加速すると指摘した。
案件ごとにゼロから建物を設計し、ゼネコンの下で多くの下請け会社が入り乱れながら、建設現場を舞台に施工を進めるのが現在の建設プロジェクトの姿だ。これに対して工業化が進んだ建設プロジェクトでは、モジュール(規格化されたユニット)を組み合わせてカスタマイズすることで顧客の要望を満たした設計を行い、工場でモジュールを製造し、最後に建設現場に運んで組み立てる。
リポートでは、建設産業が今後直面する変化を、「製品ベースのアプローチ」「専門特化」「バリューチェーンのコントロール」「統廃合」「ブランディング」「技術や設備への投資」「人材への投資」「国際化」「持続可能性」の9つに整理〔図1〕。モジュール化や標準化を進める新興企業が台頭すると強調している。
既に変化の兆しはある。例えば、北米の新築プロジェクトにおけるモジュール建築のシェアは2015年から18年で51%も増加している。