京都アニメーションの第1スタジオ(京都市伏見区)が7月18日、放火による火災で全焼した。死者35人、負傷者34人と、放火事件としては平成以降で最悪の惨事となった。なぜ被害が拡大したのか、専門家に聞いた。
らせん階段は熱でゆがみ、上階のベランダの大部分はひどくすすけていた。周辺地域の立ち入り規制が解除された翌日の7月21日も周囲はまだ少し焦げ臭く、建物正面の植え込みにはガラスの破片などが散乱した状態だった。ひしゃげた窓枠が爆発の衝撃を物語る〔写真1~3〕。
「京都アニメーション」第1スタジオで起こった火災は、死傷者69人に上った。放火犯は、らせん階段に近い1階の玄関付近でガソリンをまいて火を付けたとみられる。総務省消防庁によると、7月18日午前10時35分に火災を覚知。鎮火したのは翌19日午前6時20分だった。
被災した建物は、鉄筋コンクリート造・3階建てで、延べ面積約690m2の事務所。2007年10月に完成した。建物内部には、南側に3階まで続く屋内らせん階段と、西側に屋内階段を設置していた。各フロアは間仕切りが少ないオープンな空間だった。
建物は建築基準法22条区域に立っていた。耐火建築物、準耐火建築物とするべき条件に該当せず、スプリンクラーの設置義務はなかった。
京都市の発表資料や市建築安全推進課への取材によると、建基法や消防法上の違反は確認されていない。消火器や非常警報設備を設置済みで、消防計画の届け出もあった。