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コロナ禍で集客の制約を余儀なくされる興行施設の先陣を切り、「東京ドーム」(東京都文京区)が設備投資規模100億円の対策を打つ。「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアム」を目指す。

 読売新聞グループ本社、読売巨人軍、東京ドームの3社は7月20日、読売巨人軍の本拠地である東京ドーム〔写真1〕における新型コロナウイルス感染予防対策などの今後の展開を発表した。

〔写真1〕「有観客」を待つスタジアム
〔写真1〕「有観客」を待つスタジアム
コロナ禍により、プロ野球2020年シーズンは予定から約3カ月遅れて6月19日に無観客で開幕。7月10日より各球場5000人を上限とする有観客試合の開催を始め、東京ドームでは7月28日に有観客初日を迎える。写真は無観客での開幕当日(写真:AP/アフロ)
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 6月の開幕時からの無観客試合を経て、ようやく有観客で開催を始める7月28日を目前に、安心・安全な観戦環境をアピール。換気能力向上などのハード、および感染者との接触を通知する「コロナ追跡」システムなどのソフト、両面から新たに進める取り組みを説明した。

 東京ドームは、日本初の全天候型多目的スタジアムとして1988年3月に開業。野球以外に、コンサートや展示会など通年で多様なイベントを開催してきた。現在の収容人数は最大約5万5000人、野球の試合開催時は約4万6000人。設計は日建設計、竹中工務店、施工は竹中工務店が手掛けた。

 ドームの膜屋根を浮揚させた状態を保つため、加圧送風機によってドーム内の気圧を屋外よりもわずかに高める設備システムを当初から備えているのが特徴だ。まず第一に、余力のあった加圧送風システムを活用し、観客席部分の換気能力の増強を図る(次ページ参照)。

 また、コンコースには、高い指向性を持つ搬送ファン30台を設置。空調を停滞させず、排気箇所まで的確に空気を移動させる。さらに、大量人員の退場時や避難時などに特別に使用する場内16カ所の「バランス扉」の一部を、一斉換気のために定期的に開放する措置も講じる。