石川県輪島市にある日本航空学園能登空港キャンパス内の校舎などの壁の中から、石こうボードの端材などの廃棄物が見つかった。廃棄物の残置について、工事を請け負った前田建設工業は「同意を得ていた」と主張している。
学校を運営する日本航空学園(山梨県甲斐市)によると、廃棄物が見つかったのは大学・高校の校舎と学生寮2棟の計4棟。計30カ所の壁を調査した結果、20カ所以上で石こうボードや使用済みの軍手、木くずなどの廃棄物が見つかった〔写真1〕。校舎などは2003~04年に完成したもので、前田建設工業が設計・施工・監理を請け負っていた。学園は撤去費用や仮校舎の建設費として約50億円を前田建設工業に請求した。
前田建設工業は20年9月7日にWebサイトでプレスリリースを発表し、「施工当時と現時点とでは問題意識に相当の隔たりがある」と反論した。加えて、「当事者間での協議、解決は到底困難である」として、国土交通省が設置する中央建設工事紛争審査会に調停を申し立てたと明かした。申請は20年7月28日付だ。
雨漏りの修繕工事時に発見
廃棄物が見つかった建物では05年から雨漏りが発生。学園は前田建設工業に修繕を求めたが、修繕後も雨漏りが発生していた。学園はコロナ禍による休校期間を利用して20年4月、建設コンサルタント会社のウトロン(東京都港区)に原因究明と修繕工事を依頼し、工事に取り掛かったところ廃棄物が見つかった〔図1〕。
20年5月に前田建設工業の担当者が来校し、廃棄物の撤去を行いたいと申し出たが、学園側は「信頼できない」として、ウトロンに撤去・処分作業を依頼する意向を伝えた。