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木使用量は五輪施設で最多

 有明体操競技場は、今回の五輪施設の中で木材を最も多く使用する。内閣官房が18年1月に示した資料によると、使用量は約2300m3を見込む。新国立競技場では木と鉄骨を複合した屋根材などとするが、使用量は約2000m3で、それをしのぐ。

 有明体操競技場が完成すると、内部はアーチが連続し、木に包まれたような空間となる。外観にはなだらかな屋根のカーブが表れる〔図3〕。

〔図3〕「木の器」をデザイン
メーンのエントランスとなる北西側から見た外観の完成イメージ(資料:Tokyo2020)
メーンのエントランスとなる北西側から見た外観の完成イメージ(資料:Tokyo2020)
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観客は2階レベルからアプローチする。2階コンコースは外部空間とし、観客席の段床に沿って傾斜する壁面には80mm角の国産スギの製材を積層させる(資料:Tokyo2020)
観客は2階レベルからアプローチする。2階コンコースは外部空間とし、観客席の段床に沿って傾斜する壁面には80mm角の国産スギの製材を積層させる(資料:Tokyo2020)
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 外装にも木を多用している。観客席の段床に沿って傾斜する壁面に、80mm角の国産スギの製材を積層させる。日建設計設計部門の高橋秀通設計部長は、「シンプルな『木の器』をデザインした。傾斜壁がつくり出す深い軒下は、縁側のような外部空間だ。日本古来の夏の過ごし方を楽しんでほしい」と話す。

有明体操競技場

  • 建設地:東京都江東区有明1
  • 大会時の敷地面積:約9万6400m2
  • 大会時の延べ面積:約3万9300m2(うち主競技場は約3万5200m2)
  • 後利用時の敷地面積:約3万6500m2
  • 後利用時の延べ面積:約2万7400m2
  • 構造:鉄骨造・一部木造
  • 階数:地上3階
  • 最高高さ:約30m
  • 発注者:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
  • 基本設計・実施設計監修・監理者:日建設計
  • 実施設計・施工者:清水建設
  • 基本設計期間:2015年6月~16年1月
  • 実施設計期間:2016年11月~17年10月
  • 施工期間:2017年11月~19年10月
  • 整備費:約253億円