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 福島県郡山市内の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で20人が死傷した2020年7月30日の爆発事故は、配管の腐食部分からガスが漏洩し、何らかの理由で着火したことが原因だとみられる──。

 経済産業省は20年12月11日、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会液化石油ガス小委員会(委員長:大谷英雄・横浜国立大学教授)で調査結果を報告した。同省は福島県と情報を共有しながら、引き続き調査を進める。

 この事故では、店舗の内装工事を請け負っていた小西造型(仙台市)の社員で現場責任者の男性1人が爆発に巻き込まれて死亡し、通行人など19人が負傷した。周辺建物に与えた被害も大きく、郡山地方広域消防組合によると304棟で窓ガラスや外壁の破損といった被害が確認されている〔写真1〕。店舗では事故前日、ガスコンロをIH調理器具に変更するためのコンセントの増設作業を急きょ行っていた。

〔写真1〕鉄骨の架構を残して四散
〔写真1〕鉄骨の架構を残して四散
爆発が起こった店舗の様子。外壁や屋根が吹き飛び、鉄骨の架構のみになった。死者1人、負傷者19人の人的被害に加えて、周辺建物にも大きな被害を与えた(写真:郡山地方広域消防組合)
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 経産省が調査を委託した高圧ガス保安協会が、事故で飛散した設備の部品などを組み合わせて配置状況を検証した結果、厨房のシンク下を通るSGP配管(白管)に腐食が見つかった。腐食は床面側を中心に複数確認され、なかには亀裂が生じている箇所もあった〔図1〕。

〔図1〕白管に腐食が見つかった
〔図1〕白管に腐食が見つかった
高圧ガス保安協会が作成した白管の設置状況の図。事故で飛散した設備の部品などを組み合わせて検証した結果、厨房のシンク下の白管に腐食と3カ所の亀裂が見つかった(資料:経済産業省)
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