政府は大気汚染防止法や石綿障害予防規則を改正し、解体・改修工事などで石綿(アスベスト)を除去する際の事前調査や届け出などに関する規制を大幅に強化する〔図1〕。老朽化した建物の解体や改修が増えるなか、施工者がアスベストの存在を見落としたまま工事しないようにする狙いがある。建設会社などは対応を迫られそうだ。
厚生労働省の検討会の中間取りまとめ | 環境省の審議会の答申 | |
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作業前 |
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除去作業 |
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作業後 |
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厚生労働省が2020年度の改正を目指すのは石綿障害予防規則だ。同省の「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」は1月6日、規則の改正について方向性を示した。19年度内にも報告書を取りまとめる。
影響が大きいのは、事前調査結果などの届け出を求める制度の新設だ。厚労省はアスベストの有無にかかわらず一定の要件を満たす工事を届け出の対象とする。
解体部分の床面積の合計が80m2以上の解体工事、材料費も含めた工事全体の請負金額が100万円以上の改修工事が対象となる。
工事の元請け会社は原則として電子届により、工事に関する基本情報や事前調査の結果などを労働基準監督署に届け出る。行政が現場の状況を把握して、必要な指導ができるようにする。
現在は、吹き付けアスベストやアスベストを含有した保温材などを除去する工事で、施工者が労働基準監督署に届け出をする必要があるが、事前調査や届け出を怠って工事を実施した事例が多くあった。