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 政府は2月15日、建築物省エネ法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。省エネ基準適合義務の対象拡大や、戸建て住宅などの省エネ性能に関する説明義務付け、住宅トップランナー制度の拡充などが柱〔図1〕。成立すれば、公布から2年以内で段階的に施行する。

〔図1〕改正案では賃貸アパートもトップランナー制度の対象に

(1)オフィスビルなどに対する措置

  • 省エネ基準への適合を建築確認の要件とする建築物の対象に、中規模※のオフィスビルなどを追加
    ※延べ面積の下限を300m2とすることを想定。現行は大規模(延べ面積2000m2以上)のオフィスビルなどが対象
  • 省エネ性能向上計画の認定(容積率特例)※の対象に、複数の建築物の連携による取り組みを追加
    ※認定を受けた場合、省エネ性能向上のための設備について容積率を緩和

(2)マンションなどに対する措置

  • 届け出制度における所管行政庁による計画の審査を合理化※し、省エネ基準に適合しない新築などの計画に対する監督体制を強化
    ※民間審査機関の評価を受けている場合に所管行政庁による省エネ基準の適合確認を簡素化

(3)戸建て住宅などに対する措置

  • 設計者である建築士から建築主に対して省エネ性能に関する説明を義務付ける制度を創設
  • トップランナー制度※の対象に、注文戸建て住宅や賃貸アパートを供給する大手住宅事業者を追加
    ※トップランナー基準(省エネ基準を上回る基準)を設定し省エネ性能の向上を誘導。現行は建て売りの戸建て住宅を供給する大手住宅事業者が対象

(4)その他の措置

  • 気候・風土の特殊性を踏まえて、自治体が独自に省エネ基準を強化できる仕組みを導入 など

政府が2月15日に国会に提出した建築物省エネ法改正案の概要(資料:国土交通省)

 現行の建築物省エネ法では、延べ面積2000m2以上の大規模非住宅を省エネ基準に適合させて、建築確認時に建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)を受けるよう義務付けている。

 改正案では、オフィスビルなど中規模非住宅について、省エネ基準義務化の対象に加えることを盛り込んだ。具体的な規模は政令で定める。国土交通省は「延べ面積300m2以上」に見直す考えだ。

 省エネ適判における負担軽減を図るため、適判機関の登録基準も見直す。相対的に小さい規模の建築物を判定する場合は、現行の要件よりも少ない判定員でよいこととする。

民間機関の活用で審査合理化

 一方、マンションなど大規模・中規模住宅については、届け出制度の監督体制を強化することを打ち出した。所管行政庁の負担を軽減するため、民間審査機関を活用して審査を合理化。建築主の負担軽減も図る。

 改正案では、所管行政庁への届け出の際に、省エネ適判に準じる審査の結果を記した書面を併せて提出した場合に限り、現行制度では着工21日前までと定めている届け出期限を短縮する。届け出期限は省令で3日以上21日未満の範囲内で定める。

 小規模非住宅と戸建てなど小規模住宅については、省エネ基準への適合義務化を見送った。その代替として、建築士に省エネ性能の説明義務を課す。改正案では、省エネ基準への適合性について評価し、その評価結果について建築主に書面を交付して説明することを義務付ける内容を盛り込んだ。ただし、建築主から評価および説明が不要である旨の意思表明があった場合はこの限りではない。

 住宅トップランナー制度の対象も拡大する。現行制度は、建て売りの戸建て住宅を供給する大手住宅事業者が対象だが、注文戸建て住宅や賃貸アパートなどを供給する大手住宅事業者も追加する。必要があると認めるときは勧告、命令などができるようになる。