2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響で、両国で事業を展開する日系企業への影響が広がっている。
ウクライナに拠点を持つ企業では工場の操業停止などが相次ぐ。ロシアに進出した企業やロシア企業との取引がある会社は今後、同国への経済制裁の影響を受けそうだ。建設関連企業も例外ではない〔写真1〕。
日本政府は3月1日時点で、ロシアのプーチン大統領ら6人やロシア連邦中央銀行など3行の資産凍結に加え、49団体への輸出禁止などの制裁措置を講じると発表している。
欧米と協調し、ロシアの大手銀行を国際的な資金決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する方針も表明しており、ロシアへの包囲網が狭まっている。
そのロシアで、複数の大規模プロジェクトを抱えるのが日建設計。進行中の案件の1つに、ロシア最大手行のズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)のプロジェクトである「ズベルバンクシティー・コンプレックス」がある〔図1〕。日本政府は3月1日時点でズベルバンクを資産凍結などの対象にしていないが、米国は同行を金融制裁の対象としている。
このほか日建設計では、ロシアの大手石油企業ガスプロムネフチの施設や、モスクワ・リジスキー駅の貨物ヤード跡地の再開発プロジェクトに加え、民間デベロッパーの案件が進行中だ。
日建設計は日経アーキテクチュアの取材に対して、「現地でプロジェクトは止まっていない。状況が刻々と変わるので、当面は動きを注視しつつ、案件ごとに対応方針を検討する」と回答している(3月1日時点)。