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 レオパレス21が賃貸借契約(サブリース契約)で合意した賃料を契約期間の途中で不当に減らしたとして、岐阜県可児市の集合住宅のオーナーが賃料の減額分の支払いを同社に求めた訴訟で、岐阜地方裁判所は2月28日、原告の請求を全面的に認めて同社に876万円を支払うように言い渡した〔写真1〕。賃料などを巡り集合住宅のオーナーとレオパレス21の間で相次ぐ訴訟で、オーナー側が勝訴するのは異例だ。

〔写真1〕レオパレス21は争いを続ける
〔写真1〕レオパレス21は争いを続ける
岐阜県可児市の集合住宅のオーナーは2017年9月にレオパレス21を提訴していた。同社は判決を受け、3月2日に名古屋高裁に控訴した。写真は同社の本社(写真:日経アーキテクチュア)
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 判決文によると、事件の経緯は次の通り。原告の男性の祖父は2003年ごろ、レオパレス21と建築工事請負契約を結び、集合住宅を建設した(祖父が14年に亡くなった後は男性が建物の所有権を相続)。さらに03年8月、集合住宅をレオパレス21に賃貸し、同社が居住者に転貸する賃貸借契約を結んだ。

 賃貸借契約の期間は30年間。最初の10年間に当たる13年8月までは賃料を月額115万4700円に固定し、その後は経済情勢や近隣の家賃相場などを勘案して、協議により賃料を改定すると取り決めた。

 レオパレス21は12年10月、「(13年8月で)10年がたつため、賃料について協議したい」と申し出た。原告の男性は、高齢だった祖父の代理人として交渉に当たった。

 レオパレス21は最初に11年目以降の賃料を1カ月当たり40万円以上減らす案を提示。続いて、減額開始時期を前倒しにする代わりに、減額幅を抑える案も提示して減額を迫った。原告の男性は、減額が避けられないと思い込み、時期を前倒しにする案を受け入れた。

減額に関する合意は無効

 裁判で原告の男性は、賃料の減額に関する合意が無効だとして、改定前と改定後の賃料の差額に当たる876万円を支払うよう求めた。交渉過程でレオパレス21から、何らかの減額案に合意しなければ、自動的に最初の額まで賃料が下がると説明を受けたため、やむを得ず減額幅がより小さい案を受け入れたと主張した。

 一方、被告のレオパレス21は最初の案の額まで自動的に下がるなどとは説明していないと反論。賃料の改定方法について、当初の契約内容に即して正しく説明しており、原告の男性も内容を理解していたと主張した。

 岐阜地裁は、同社が交渉の際、減額案について家賃相場などを反映した適正な賃料だと説明したことが、賃料の減額が避けられないという誤解を原告に与えかねないものだったとした。また、同社は賃料の改定について契約の条文を読み上げただけで、原告が誤解していることを知りながら、それを解消するための説明を尽くさなかったと指摘。同社の主張を退け、減額に関する合意を無効とする判決を下した。

 原告側代理人の澁谷歩弁護士は、「これまで形式的な契約書や合意書を根拠に、オーナーの被害実態を顧みず、事業者を支持する判決が下されてきた。今回の判決は正面から実態に目を向けており、非常に画期的だ。もし、この訴訟がオーナー側に有利な形で終結すれば、同様の被害を受けたオーナーも立ち上がる可能性がある」と語る。