全1147文字

 住友林業と熊谷組は3月31日、中大規模木造建築の受注強化に向けて「with TREE」と呼ぶ新ブランドを立ち上げた。「環境と健康をともにかなえる建築」をコンセプトに、設計や施工のほか、コンサルティングサービスなどを提供する。既に野村不動産が都内で開発する中層オフィスビルの設計や施工を受注した。

 両社は2017年に資本業務提携契約を締結。中大規模木造事業での協業の一環としてwith TREEブランドを立ち上げた。住友林業の非住宅事業を手掛ける建築市場開発部、熊谷組の営業推進部などが連携してプロジェクトを進める。売り上げや利益の目標は公表していない。

コンサルサービスを提供

 住友林業は木材の調達に強みを持つほか、教育施設など非住宅の低層木造建築物で設計や施工の実績を増やしている。熊谷組はゼネコンとして中大規模施設の施工を多く手掛けてきた。両社の強みを持ち寄り、中大規模木造の市場を開拓する。

 住友林業は、木を使った建物が利用者の健康にもたらす効果などについて研究を進めており、研究成果を生かして発注者にコンサルティングサービスも提供する。

 同社コーポレート・コミュニケーション部は、「コストだけで比較すると、発注者は木造よりも鉄骨(S)造や鉄筋コンクリート(RC)造を選びがち。補助金に頼らず木造を普及させるためには、木材利用によるCO2削減効果や健康への効果を数値化し、企業価値の向上につながると示すことが必要だ」とする。

熊谷組の木質耐火部材を適用

 受注したプロジェクトには、両社の木質耐火部材を適用する予定だ。住友林業は、「木ぐるみ CT」と呼ぶ木質耐火部材を開発してきた。柱については2・3時間耐火、梁については3時間耐火の国土交通大臣認定を取得したと21年3月31日に発表した。

 熊谷組も「λ-WOOD(ラムダウッド)」と呼ぶ木質耐火部材を開発。柱については1~3時間耐火、梁については1・2時間耐火の大臣認定を取得したと3月17日に発表している。

 既に受注を決めた、野村不動産が開発する地上7階建て、延べ面積約1850m2のオフィスビル「H1O(エイチワンオー) 外苑前」(東京都渋谷区)では、脱炭素の取り組みとして、主要構造部に鉄骨と木材を使う木造ハイブリッド構造を採用した。多摩産の木材を使用し、主要構造部を全て鉄骨にした場合と比べて、CO2排出量を約21トン削減する〔図1〕。

〔図1〕木造ハイブリッド構造で脱炭素
〔図1〕木造ハイブリッド構造で脱炭素
H1O 外苑前の外観イメージ。2021年5月に着工し、22年8月に竣工する予定だ(資料:野村不動産)
[画像のクリックで拡大表示]

 設計者は野村不動産と熊谷組、施工者は熊谷組。住友林業は、CO2削減効果といった木材利用のメリットに関する知見を提供した。H1O 外苑前では、木造の柱と梁に熊谷組のλ-WOODを利用する。2階から3階の部材は2時間耐火、4階から7階の部材は1時間耐火だ。CLT(直交集成板)の耐震壁も配している。