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 琉球文化の象徴である木造の正殿を含め、南殿や北殿など7棟の中心施設が全焼した2019年10月の首里城火災。政府は「首里城復元に向けた技術検討委員会」(委員長:高良倉吉・琉球大学名誉教授)が20年3月17日にまとめた報告書を基に、同月27日の関係閣僚会議で復元に向けた工程表を決定した〔図1〕。

〔図1〕正殿の復元は防火や材料の調達が課題
〔図1〕正殿の復元は防火や材料の調達が課題
2026年度まで続く正殿の復元。政府は整備の過程を一般公開し、観光資源として活用する方針だ。全焼した北殿や南殿などについては、撤去して正殿の工事のためのヤードとして使用する。正殿の復元と並行して、再建方法を検討する(資料:内閣府)
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 工程表では20年度早期に設計に入り、22年度に着工して26年度までの正殿復元を目指すとした〔写真1〕。復元に当たっては、防火対策を強化する。強化項目として、再発防止策の徹底や火災の早期発見と迅速な初期消火の徹底、消防隊による消火活動を容易にすることのほか、消火のための水源確保、世界遺産の構成資産である首里城跡の保護を掲げた。

〔写真1〕全焼する前の首里城正殿
〔写真1〕全焼する前の首里城正殿
焼失前の正殿。部材には台湾産ヒノキのムク材を使用していた。今回の復元では国内産ヒノキを中心に使用する(写真:内閣府沖縄総合事務局)
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 具体的には、復元する正殿に最先端の自動火災報知設備やスプリンクラーなどを設置する。加えて、城郭内に消火用の水を送る連結送水管設備の導入や貯水槽の増設、消火栓の新設を進める。貯水槽の増設については、首里城の地下遺構の保護を前提に設計・施工する。

 首里城の火災では、火元とみられる正殿にスプリンクラーが設置されておらず、自動火災報知設備の発報も遅れたため初期消火ができなかった。また、首里城は城郭に囲まれた高台に立地しているため、消防車両が進入できず、放水開始までに時間を要した。各種の対策は、こうした課題を踏まえたものだ。

 防火に加えて復元の課題となっていたのが材料の調達。往時の首里城に使われていたとされるチャーギ(イヌマキ)などの大量調達は困難なため、国産ヒノキを中心に用いる方針だ。前回の復元時に使用した台湾産ヒノキの使用も含めて市場調査を進める。塗装の下地となる漆には中国産を使用。沖縄独特の赤瓦は、沖縄本島産の材料を調達して県内に蓄積・承継されている伝統技術を用いて製造する方針だ。