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 新型コロナウイルスの感染防止に配慮し、電話やウェブ会議などを通じて行われた建設会社の2020年3月期決算の説明会。増収を果たした企業が多いものの、受注高は19年3月期の実績を大きく下回るケースも目立った〔図1〕。さらには、新型コロナがもたらす影響を算定できないとして、21年3月期の業績予想を見送る企業が続出。好況を享受してきた建設業界に、暗雲が垂れ込めてきた。

〔図1〕主なゼネコンの2019年度の業績(単体)
〔図1〕主なゼネコンの2019年度の業績(単体)
5月27日時点で2019年度の決算を発表している主要な総合建設会社のうち、数値の比較が可能な企業を示した。竹中工務店のみ19年12月期決算。図中のカッコ内は対前年増減率で、▲はマイナス。完成工事総利益率のみ、カッコ内は増減ポイント(資料:各社の決算短信などを基に日経アーキテクチュアが作成)
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上場大手4社はそろって増収

 単体の業績を見ると、大林組、清水建設、大成建設、鹿島の上場大手4社はいずれも増収。五輪関連施設や首都圏の大型再開発案件といった手持ち工事を順調に消化した。準大手以下にも増収を果たした企業は多い。3月末までに工事を中断したケースは少ないことから、新型コロナの感染拡大が20年3月期の業績に与えた影響は少なかったようだ。

 大手4社で唯一、増収増益だったのが大成建設。売上高は前期比6.1%増の1兆4095億円、営業利益は5.9%増の1415億円だ。清水建設も好調だった。売上高は前期比0.8%増の1兆4176億円。純利益こそ前期を割り込んだものの、営業利益は1.5%増の1152億円だった。

 一方、工事の採算性を表す完成工事総利益率(粗利率)は、前期とほぼ同等の水準か、下回る企業が多かった。18年3月期前後を天井に、減少傾向が続いている。

 建築工事の粗利率を見ると、11%以上の高水準をキープしている大手と、準大手・中堅以下の企業の差が広がりつつある。例えば西松建設の建築工事の粗利率は、前期比3.6ポイント減の7.2%、三井住友建設は1.5ポイント減の8.1%だった。

 建設会社はこの数年、潤沢な工事量や人手不足を背景として強気の姿勢で受注に臨んできたが、徐々に競争が厳しくなってきている。今後は採算性の確保に苦労する企業が増えていきそうだ。

 将来の業績の先行指標となる受注高については、鹿島や清水建設などが前期を大きく割り込んだ。

 清水建設の受注高(全体)は前期比26.1%減の1兆2744億円。前期に虎ノ門・麻布台プロジェクトなど都心の大型再開発案件を受注した反動で、建築の受注高が前期比32.4%減の9077億円となった影響が大きい。鹿島についても同様に、好調だった前期の反動などで、建築の受注高は前期比26%減の7949億円となった。