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 東京都が大規模重層長屋の規制強化に乗り出す。敷地内の通路幅を現行よりも広げ、火災時などの避難安全性を確保する。都の建築安全条例を改正する方針だ。6月20日に成立した改正建築基準法でも、長屋の接道規制強化を目的とした項目が盛り込まれており、他の自治体でも同様の動きが広がる可能性がある。

 都が5月末に公表した変更案では、建物規模や敷地内の通路長さなどに応じて、通路幅の規制を強化することを盛り込んだ〔図1〕。主要な出入り口が道路に面しない住戸部分の延べ面積300m2超、または住戸が11以上の場合、敷地内の通路幅を現行の2m以上から3m以上に引き上げる。全ての住戸の床面積が40m2を超える場合は、延べ面積400m2までは2m以上に据え置く。

〔図1〕窓からの避難通路は幅50cm以上の確保求める
〔図1〕窓からの避難通路は幅50cm以上の確保求める
敷地内の通路に対する規制の見直しのイメージ。図は路地状敷地の例。建物規模に応じて敷地内の通路幅を拡大する。また、建物規模によらず、窓から隣地までの距離50cm以上の確保を求める(資料:東京都)
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 また、道路から最も遠い住戸の主要な出入り口から道路までの距離が35mを超える場合、通路幅を4m以上とする規定を新設する考えだ。

 さらに、建物規模にかかわらず、各住戸の窓など主要な出入り口以外の開口部から道路まで、幅50cm以上の避難上有効な通路を設けることも義務付ける。避難階以外の階には、避難上有効なバルコニーまたは器具の設置を求める。このほか、認定による規制の適用除外を可能とする規定や、区市町村による独自条例の制定も可能とする規定も追加する。

国交省の通知を基に見直し

 建基法の避難規定では、戸建て住宅と長屋は同様の扱いになっている。いずれも居住者が各住戸から直接、または専用階段で地上に避難できる構造となっているというのがその理由だ。共用部を持つ共同住宅よりも規制が緩い。

 国土交通省は、大規模重層長屋は通常想定されている長屋と異なるとして、対策を検討するため、2017年3月に「多数の狭小住戸からなる大規模重層長屋に関する検討会」を設置した。検討会には国交省や建築研究所に加え、東京都、足立区、世田谷区、横浜市、大阪府といった自治体が参加。実態調査では、これらの自治体管内で14~15年度に確認済み証が交付された延べ面積300m2以上の大規模重層長屋は計452棟で、うち路地状敷地(旗ざお地)や行き止まり道路に接する袋路(ふくろじ)状敷地に立つものは147棟あることが分かった。

 検討会で整理した現状と課題を踏まえ、国交省は17年7月、各都道府県に対し、条例による通路幅の規制などを検討するよう通知した。この通知を基に、東京都は区市町村との協議のうえ、安全条例の見直し案を作成した。