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 建設資材の高騰が止まらない。

 ガラス大手のAGC、日本板硝子、セントラル硝子は10月1日、国内建築用ガラス製品を最大40%値上げする。7月に相次いで発表した〔図1〕。

〔図1〕建設資材の値上げ発表が相次いでいる
〔図1〕建設資材の値上げ発表が相次いでいる
ガラス大手、内装材大手、住設機器大手が値上げを発表。多くが2021年に続く値上げだ(資料:左からAGC、日本板硝子、セントラル硝子、サンゲツ、東リ、LIXIL)
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 AGCは10月1日納品分から価格を引き上げる予定だ。値上げ幅はフロートガラスで約40%、型板ガラスと網入り型板ガラスで約35%、網入り磨き板ガラスで約30%、鏡で約20%。複層ガラスや強化ガラスなどの主要な建築用加工ガラスでも25~30%値上げする。

 日本板硝子は同日出荷分から、セントラル硝子は同日納品分から、同程度の値上げを実施する。3社とも、一部の製品ではさらに値上げ率が大きくなる場合があるとしている。

 3社は原料や燃料の高騰などを理由に、2021年10月にも値上げを実施済み。当時の最大値上げ率も30~40%だった。2年連続の大幅な価格改定は異例だ。

 原料や燃料の高騰に、円安が追い打ちをかけている。AGCが値上げに踏み切るのも、円安で買い付け価格が膨らんだことが理由だ。同社は円安基調が強まった22年春以降、本格的に値上げの検討を始めた。「ケイ砂や重油といった原料・燃料の多くを輸入に頼っている。円安の急進が原料・燃料の価格や輸送コストに響いた」(同社広報・IR部)

 日本板硝子建築ガラス事業部門開発部の久田隆司部長は次のように話す。「中国のロックダウン(都市封鎖)で物流が滞ったことも値上げ要因の1つだ。海上輸送コンテナの需給逼迫も重なった。加工前の板ガラスや副資材の調達が難しくなり、工場をフル稼働しても建築用ガラスの需要を賄えない。(輸送コストが相対的に高い)空輸などの対策も講じてきたが、いよいよコスト上昇分を全て吸収するのが困難な状況になった」