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 東日本大震災などの地震の影響と、その後の経年劣化によって剥離につながった可能性がある――。仙台市青葉区の「せんだいメディアテーク」内の市民図書館で、耐火被覆材の一部が落下した事故について、市は7月26日、事故原因についてこのような見解を示した。

 事故が発生したのは7月14日午後4時ごろ。吹き抜けとなっている3階フロア西側天井の壁際から、耐火被覆材が約5.1m下の机に落下した〔写真1〕。近くの椅子に座っていた利用者の40代男性に破片が当たり、右肘に軽傷を負った。

〔写真1〕セラミック系耐火被覆材が落下
〔写真1〕セラミック系耐火被覆材が落下
落下して砕け散った耐火被覆材。鉄骨フラットスラブに施されていたセラミック系耐火被覆材が剥離し、高さ5.1mの吹き抜け天井の壁際から落下した。耐火被覆材は、新築時にコテで数回にわたって塗り重ねて仕上げていた(写真:仙台市民図書館)
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 せんだいメディアテークは、2000年8月竣工。細径厚肉鋼管で構成する大小13本のチューブが、鉄骨フラットスラブを支える構造だ。落下したのは、鉄骨フラットスラブの下側に施したセラミック系の耐火被覆材だった。スラブから吊り下げた天井材と壁面の約50cmのクリアランスから落下した。

 剥落した耐火被覆材は長辺約1m、短辺40~50cmで、厚さ25mm。新築時、スラブに直接、コテで複数回塗り重ねて仕上げていた。市は15年に定期調査を実施していたが、異状は見つからなかったという。

防護用ネットを取り付け

 市は、事故発生翌日の18年7月15日から市民図書館の一部を臨時休館。新築工事の際に施工を担当した熊谷組が、剥落箇所と同じ建材で施工した箇所を目視とテストハンマーによる打診で点検した。市都市整備局公共建築部営繕課によると、3階東側天井の壁際や4階天井のチューブ周囲などで、耐火被覆材の亀裂や膨れが新たに見つかった。

 市は、これらの箇所も剥落の危険性が高いと判断し、耐火被覆材を除去。剥落箇所と合わせ、防火対策の応急措置として、既存と同種の耐火被覆材をコテ塗りで補修したうえで、防護用ネットを取り付けた。

 市は安全確保が完了したとして、7月27日から図書館の利用を再開した。剥離の原因は8月6日時点で調査中だが、地震や経年劣化による層間剥離と推測している。

 市営繕課は日経アーキテクチュアの取材に対し、「剥落箇所のスラブには被覆材の一部が残っていた。被覆材が表層に近い部分で剥離していた箇所もあった。震災を経ても落下しなかった部位なので、施工不良の可能性は低いと考えている」と回答した。