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 建設用クレーン大手のタダノ(高松市)が、新工場の用地として香川県から購入した埋め立て地の陥没を巡り、県を相手取り、高松地方裁判所に提訴したことが明らかになった。県の施工に不備があったとして、2億7280万円の損害賠償を求めている。請求額の内訳は、陥没の対策工事費が1億7280万円、工期遅延による損害金が1億円だ。提訴日は5月31日。

 浜田恵造知事は2019年7月16日の会見で、「埋め立て工事に関して県の不備はなかったと認識している」と発言。「県は瑕疵担保責任を負わないと考えていることから、裁判所において県の考えを主張していく」と争う姿勢を示した。

 県とタダノが売買契約を結んだのは、県が開発を進めた高松港香西西地区埋立地の19.8ヘクタールの分譲地だ〔写真1〕。売買契約では、土地の引き渡し後に瑕疵(かし)を発見しても、県は一切責任を負わない規定だ。地盤沈下や建物の損傷などは原則、土地購入者が自費で対応しなければならない。

〔写真1〕「内護岸」が陥没の原因か
〔写真1〕「内護岸」が陥没の原因か
タダノが香川県から購入した高松港香西西地区埋立地の造成中の航空写真。完成後に埋め立て地の一部が陥没した。タダノは、地中に埋まっている「内護岸」が原因だと主張している(写真:国土交通省四国地方整備局)
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 タダノ総務部の山下猛部長は、県との売買契約に関して、「予測できない欠損があってタダノ側に損害が発生した場合は、県が責任を負うとの特則が設けられている」と説明する。契約内容からすれば、裁判では「分譲地の陥没が予想できたか否か」が争点になる可能性が高い。

敷地内2カ所で直径3mの陥没

 タダノは15年9月、開発中の埋め立て地を新工場の候補地とするため、県に要望書を提出している。(1)13.8ヘクタールで計画していた工業用地を20ヘクタールに拡大する(2)埋め立て工事の完了時期を17年1月から16年度半ばに早める──の2点が主な内容だ。

 県はこの要望に応えて16年3月に分譲地を完成させた。同年7月に約24億4000万円でタダノと売買契約を締結。タダノは建設用大型クレーンの生産拠点として約175億円を投じ、延べ面積約4万2000m2の工場の建設を進めた。

 工事を進める過程で直径3mほどの陥没を敷地内2カ所で発見。また、掘削すると海水が湧き出る箇所も見つかった。対策工事に時間を取られた結果、18年7月に予定していた工場の完成は3カ月遅れた。

 タダノは、捨て石を積み上げた内護岸が敷地内の地中に残っているためにトラブルが起こったとみている。山下部長は、「埋め立て地の施工時に内護岸を取り除くべきだった」と主張する。

 一方、県土木部港湾課の技術担当者は、「裁判の争点にもなっているためコメントは控える」と話している。