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 瓦屋根の設計・施工方法などの詳細を記載し、7月1日に発行された「2021年改訂版瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」。瓦屋根の緊結方法を定めた建設省告示109号の20年改正を踏まえて、従来のガイドラインを大改訂した。

 改訂作業を担当した日本建築防災協会は21年8月2日から9月30日まで、ガイドラインと告示の改正内容などを解説するオンライン講習会を無料で実施している。ガイドラインは有料で販売する。

 改訂したガイドラインには、瓦屋根の構造設計に関する法令・告示と改正のポイント、適用対象としている瓦ぶき用建材の解説、瓦屋根の構造性能を検証するための試験方法、推奨する標準工法・仕様、施工上の注意点、瓦屋根の耐風・耐震診断と改修方法などを盛り込んだ。

 推奨する標準仕様については、旧ガイドラインに記載していた「瓦を1枚おきにくぎなどで緊結する仕様」をなくし、全ての瓦を緊結する仕様に統一した。22年1月に施行される改正告示109号に適合するための措置だ。

耐風性能の高い仕様も記載

 旧ガイドラインに比べて、推奨する仕様の種類を大幅に増やした点も特徴だ。追加した仕様には「防災瓦と緊結力の高いネジを組み合わせる仕様」などがある。

 風の強い沿岸部に立つ建物向けに、耐風性能の高い仕様も盛り込んだ。沿岸部に該当する「地表面粗度区分II」で計算した風圧力に耐える仕様だ。19年の房総半島台風では、旧ガイドラインの標準仕様で施工した住宅の瓦屋根の大半は被害を免れたが、沿岸部に立つ一部の住宅で被害が見つかった〔写真1〕。旧ガイドラインでは、市街地に該当する「地表面粗度区分III」での風圧力に耐える仕様のみを記載していた。

〔写真1〕房総半島台風が改訂の契機に
〔写真1〕房総半島台風が改訂の契機に
建設省告示改正と、瓦屋根標準設計・施工ガイドライン改訂の契機となった、2019年の房総半島台風による瓦屋根の被害(写真:日経アーキテクチュア)
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 このほか瓦屋根の耐風・耐震診断に関しては、建築士や自治体職員が地上から目視調査する「一次診断」と、かわらぶき技能士や瓦屋根工事技士、瓦屋根診断技士が屋根に上がって詳細に確認する「二次診断」の方法を紹介している。

 瓦屋根の二次診断は活用機会が増えそうだ。改正告示に適合した瓦屋根にする耐風改修工事とともに、21年度から国土交通省の「住宅・建築物安全ストック形成事業」のメニューに加わり、補助金の支給対象になったからだ。

 今回の改訂作業は、ガイドラインの発行元である全日本瓦工事業連盟など瓦に関係する3団体と日本建築防災協会が、国交省と国交省国土技術政策総合研究所、建築研究所などが参加する編集委員会を設置して進めた。