全2052文字
PR

 住宅の地盤調査や地盤改良などを手掛けるハイスピードコーポレーション(松山市)は8月25日、同社の元社員が住宅の地盤調査報告書のデータを改ざんしていたと発表した。

 当初は不正の件数を33件と発表していたが、9月6日には判明分だけで76件と修正した〔図1〕。不正発覚後に退職した元社員は改ざんの理由について「作業を省略したかった」と述べたという。

〔図1〕不正件数を大幅に追加
〔図1〕不正件数を大幅に追加
不正のあった地盤調査報告書の件数を追加修正した説明文。ハイスピードコーポレーションが9月6日に同社のウェブサイトに掲載した。元社員は出勤停止処分を経て退職した(資料:ハイスピードコーポレーション)
[画像のクリックで拡大表示]

 ハイスピードコーポレーションの社内調査では、2020年4月に入社した当時20歳の元社員が20年4月1日~21年5月8日に作成した202件の報告書のうち76件で不正が発覚した。76件の調査地の内訳は愛媛県が65件、高知県が10件、香川県が1件。元社員以外が作成した報告書については、不正を確認できなかったと説明している。

 同社が改ざんに気付いたのは、21年4月21日付の報告書を確認しているときだ。元社員の上司が、報告書と柱状図で邸名に食い違いがあることを発見した。上司が理由を聞いたところ、元社員は過去のスクリューウエート貫入試験(旧称はスウェーデン式サウンディング試験、略称はSWS試験)で、本来は5地点で実施すべき貫入試験を、一部もしくは全部怠ったと告白した。

ソフトの修正機能を悪用

 改ざんの手口は単純だ。地盤調査報告書作成ソフトにSWS試験機で計測したデータを読み込ませる際に、ソフトの修正機能を用い、データの不足箇所に同じ現場の別の地点のデータや隣接地のデータなどを付け足していた。こうした修正機能は、多くのソフトが有しており、不正は比較的容易だ。一方、不正を目視でチェックするのは簡単ではない。ハイスピードコーポレーションの総務担当者は、「本物に似たデータを流用していたので、柱状図を見るだけでは見抜きにくかった」と釈明する。

 同社は当初発表の33件について、データがない箇所のSWS試験を自社で実施し、5月下旬に報告書のつくり直しを終えた。21件の現場ではすでに工事が始まっていたため、貫入位置をずらして測定した。2件の現場では、再試験の結果を踏まえて改良工事の内容を見直した。

 33件の現場に付けていた地盤保証については、いずれの保証会社も継続を承認した。14件に地盤保証を付けていたハウスワランティの森田靖英代表理事は、「会社ぐるみの不正ではないと判断した。やり直したSWS試験の解析結果から、既存の基礎と改良工事の内容で保証を継続してもいいと判断した」と話す。

 一方、愛媛・高知・香川の3県は、特定行政庁としてハイスピードコーポレーションへの調査を開始。同社が関わった住宅に建築基準法違反や別の不正がないかなどを報告するよう求めた。愛媛県は、不正の対象となった住宅を設計した建築士にも建基法への適合性を確認する責任があるとし、ハイスピードコーポレーションの報告書を建築士が確認したうえで提出するよう求める方針だ。