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 レオパレス21の施工不備問題を巡り、岐阜市のアパート所有者が同社に補修費など約2000万円の損害賠償を求めた裁判で、岐阜地方裁判所は8月26日、原告側の請求を棄却する判決を下した。問題となったアパートは提訴時点で築20年を超えていたことから、判決は原告に「請求権がない」とした。原告は控訴した。

 原告の所有者は1994年にレオパレス21と建築工事請負契約を締結、翌95年に2棟の2階建てアパートの引き渡しを受けた。2018年3月、原告側が実施した調査により、この2棟は当初から小屋裏へ界壁が施工されていなかったことが発覚した〔写真1〕。この調査が同社による一連の施工不備問題が明るみに出るきっかけだった。原告側が提訴に踏み切ったのは18年8月。2棟は築23年に達していた〔図1〕。

〔写真1〕小屋裏界壁の未施工が問題に
〔写真1〕小屋裏界壁の未施工が問題に
問題となった岐阜市内の木造アパートの小屋裏。2018年3月から3回実施した調査で、界壁の未施工が判明した(写真:LPオーナー会)
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アパートの外観。所有者は界壁の補修に約1800万円の費用がかかると試算した(写真:LPオーナー会)
アパートの外観。所有者は界壁の補修に約1800万円の費用がかかると試算した(写真:LPオーナー会)
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〔図1〕提訴後に契約解除
1994年 原告がレオパレス21(当時の社名はエムディアイ)との間で建築工事請負契約を締結
1995年 8月ごろ 2棟の2階建て木造アパートが完成。原告は建物を同社に貸し出す賃貸借(マスターリース)契約を締結した。賃料は1棟当たり月額41万円だった
2017年 賃料減額要求が何度も続いたことから原告が不信感を抱き、「LPオーナー会」への参加を決める。1棟当たりの月額賃料は23万円まで下がっていた
2018年 3月 原告が一級建築士事務所に依頼し、2棟の小屋裏内の調査を実施。界壁がないなど施工不備が判明
2018年 8月 原告が同社を相手取って岐阜地方裁判所へ提訴
2019年 同社が2棟の補修方針を原告に連絡。その後、同社は原告との賃貸借契約を解約すると通知した
2020年 8月26日 岐阜地裁が判決で原告の訴えを棄却。原告は控訴する方針
事件の経緯。1995年8月ごろにアパートは完成。提訴時点で築23年経過していた。提訴後、レオパレス21は補修の意思を原告に示した一方、マスターリース契約を解約した(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

争点は「除斥」の起算点

 裁判で争点となったのが、引き渡しから20年以上が経過しても、所有者は設計者や施工者へ法的な責任追及が可能なのかだ。

 判決によると、被告のレオパレス21は裁判で、物件の小屋裏などの施工状況については「原告の指摘の通り」だと認めている。一方、2棟は提訴時点で引き渡しから20年を超えており、契約上の瑕疵(かし)担保責任期間(最長10年間)、不法行為責任の除斥期間(最長20年間)が経過しているので、「原告側の損害賠償請求権は消滅している」と反論して争った。

 責任期間の起算点をどこに置くかについて、原告側は「施工不良は不当に隠蔽されていた。18年の調査で事態が発覚した時点とすべきだ」と主張した。炭鉱労働者のじん肺被害を巡る判例(筑豊じん肺訴訟、最高裁判所04年4月27日判決)が示した、不法行為責任の起算点を巡る考え方をベースにしたものだ。

 一方のレオパレス21側は、これまで数多く争われてきた一般的な建築訴訟と同様、起算点は「建物の引き渡し時点」だと主張した。