9月18日午後11時ごろ、仙台市青葉区に立つ高さ約81mの「仙台本町三井ビルディング」で、建物が突然横揺れを繰り返す現象が起こった。当時、地震や強風は発生していない。三菱重工業製の制振装置の誤作動が原因とみられている〔写真1〕。
同ビルの7~18階には「三井ガーデンホテル仙台」が入居している。揺れに気づいたホテルの従業員は、館内の点検を実施。同日午後11時半ごろに宿泊客の1人が消防に通報した。19日午前0時ごろには、宿泊客372人が階段で屋外に避難。避難中に1人が転び、病院に搬送された。
揺れが止まったのは、19日午前0時半ごろ。ホテルの従業員と消防士が、屋上にある制振装置の運転を停止した。ホテル側は停止した状態でも建物の構造安全性に問題はないと判断し、午前2時から3時にかけて宿泊客を客室に戻した。
三井不動産が所有する仙台本町三井ビルディングは鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)、地下1階・地上18階建てで、延べ面積1万4595m2。設計は日建設計、施工は清水建設が手掛け、2009年7月に開業した。
三井不動産によると、同ビルの制振装置は重りを能動的に動かすことで強風による揺れを低減するアクティブマスダンパー(AMD)だ。このAMDは三菱重工製で、三菱重工マシナリーテクノロジー(広島市)が定期的に保守点検をしている。
「屋上の制振装置が揺れを感知していない状態で誤作動し、建物を揺らした」と、ホテルを運営する三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)の総務人事担当者は説明する。同社は系列ホテルを対象に、同様の制振装置の有無を確認している。