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 山口市の山口情報芸術センター(YCAM)で9月22日、台風17号の強風で金属製の屋根ふき材がめくれ、断熱材が周囲に飛散する被害が発生した〔写真1〕。この建物では2004年9月にも屋根材が台風によって飛散し、市は同年に補修工事を実施していた。

〔写真1〕屋根がめくれて断熱材が飛散
〔写真1〕屋根がめくれて断熱材が飛散
台風17号の強風でめくれた屋根。下にあった約180枚の断熱材が飛散した。建物の延べ面積は約1万4800m2(写真:山口市)
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 山口情報芸術センターは03年11月に開館した。展示スペースや劇場、市立中央図書館を併設する複合文化施設で、地下2階・地上3階建てだ。発注者は山口市。設計は磯崎新アトリエ、施工者は大林組・安藤建設・旭建設工業・技工団特定建設工事共同企業体が手掛けた。

 屋根は幅30m、長さ171mで3つの山がある曲面で構成。頂部の高さは19.8m、平均高さは15.3mだ。厚さ0.6mmの溶融アルミ亜鉛合金めっき鋼板を短辺方向にふいていた。

 この溶融アルミ亜鉛合金めっき鋼板が幅15m、長さ10mにわたってめくれ上がった。被害箇所は補修工事をした箇所の一部で、山の形をした屋根の中腹部分だ。

部材の経年劣化が原因か

 山口市都市整備部建築課は、鋼板と下地材を一体化させるボードファスナーなどの経年劣化が被害の原因の1つとしている。

 鋼板がめくれたことで、この下にあった約180枚のスタイロフォームが建物周囲に飛散。9月22日午後9時ごろ、巡回していた警察官が発見し、被害が発覚した。飛散物によるけが人は確認されていない。山口市にある気象観測所では当時、瞬間最大風速28.9m/秒を記録した。

 山口市は被害発生直後の9月23日を臨時休館として、飛散物の点検などを実施。翌24日にブルーシートをかぶせて応急処置を施した。

 補修工事の実施時期は未定だ。建設当時に鋼板を加工した会社が廃業したため、別の加工メーカーでも同様の方法で補修できるか検討している。

 この建物の屋根が台風の被害を受けたのは2度目。前回は04年9月に屋根面積の約半分に当たる2540m2が飛散した。当時、事故原因を調査した第三者委員会は、屋根ふき材の固定強度の低さなどが被害の原因と推定していた。市は2900万円をかけて補修工事を実施。固定方法をビスからボードファスナーに変更したり、鋼板を下地に固定するつり子のピッチを縮めたりした。

 市の建築課の職員は、「補修工事以降、今回の台風よりも強い風を受けても屋根ふき材がめくれていないため、04年の補修工事に問題はなかったと考えている」と説明した。