全1312文字

 東日本大震災からの復興の象徴として知られる、宮城県女川町の温泉施設「女川温泉ゆぽっぽ」。2021年の2月と5月に発生した地震で窓ガラスの破損が相次ぎ、原因究明などのために長期休館を余儀なくされていたが、22年8月21日、約1年3カ月ぶりに営業を再開した。町の調査では、鋼管柱と天井材の衝突が原因だと判明。再発防止に向けて改修を進めていた〔写真12〕。

〔写真1〕過去のガラス破損時の様子
〔写真1〕過去のガラス破損時の様子
2021年5月の地震による建物北東側の被災状況。窓ガラスの破片が散乱している(写真:女川町)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕2022年8月に営業を再開した
〔写真2〕2022年8月に営業を再開した
営業を再開した「女川温泉ゆぽっぽ」の北東側を見上げる(写真:女川町)
[画像のクリックで拡大表示]

 女川温泉ゆぽっぽは、JR女川駅に併設するかたちで15年に開業した。鉄骨造・一部木造の地上3階建てで、南北に細長い平面形状を持つ。延べ面積は約900m2だ〔写真3〕。

〔写真3〕復興の象徴として知られる
〔写真3〕復興の象徴として知られる
開業当時の「女川温泉ゆぽっぽ」。2015年撮影(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 女川町で震度4を観測した21年2月13日の地震と、震度5弱を観測した同年5月1日の地震ではいずれも、建物北東側と南西側の窓ガラスが破損。同じ箇所での被害を重くみた女川町が営業を停止した。

 なお、この施設では震度5強を観測した22年3月16日の地震でも、北西側で窓ガラスが1枚破損するなどの被害が出ている〔図1〕。

〔図1〕建物長辺側の窓ガラスが破損
〔図1〕建物長辺側の窓ガラスが破損
赤い囲みが2021年の地震による窓ガラスの被害。青い囲みが22年3月の地震による被害を示す(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]