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 建築物や内装の意匠登録を可能とする改正意匠法について、政府は施行日を2020年4月1日と定める政令を閣議決定した。法改正は企業の競争力強化などを目的に、デザインの保護範囲を拡大するもので、登録が認められれば特許庁のウェブサイトなどに掲載され、権利者は他者に対し模倣行為などを制限できる。従来の意匠登録制度は対象が物品(動産)に限られ、建築物は不動産に該当するので登録できなかった。

 審査基準もまとまりつつある。特許庁は19年10月23日、産業構造審議会知的財産分科会・意匠制度小委員会の意匠審査基準ワーキンググループ(座長:黒田薫・弁護士、阿部・井窪・片山法律事務所)で基準案を示した。11月20日の会合で報告書案をまとめ、19年内に基準案の意見募集手続きに入る予定だ。

 基準案はまず、建築物の意匠登録における要件として、土地に定着した人工構造物(土木構造物含む)であること、と定義した。一時仮設などは以前から物品として登録可能となっている。岩や石、樹木、川や滝などは自然物なので対象外だ。庭園などは人の手が加えられているものの、自然物や地形が主な構成要素となるため、やはり対象とはならない。

 1つの出願における建築物には、建物に付属したデザイン要素を含められる。基準案は門扉やカーポート、ペデストリアンデッキ、屋上庭園、ビル敷地内の公共空間デザイン、などを挙げた。建物に固定したプロジェクターで投影した画像なども付属物として認める。固定した照明器具の光で生じる模様も、建築物自体の模様と見なせる。複数棟から成る施設も、形状や模様、色彩などの統一性がある場合、「建築物の組物」として集合体の出願を可能とする。

 審査では新規性と独自性(創作非容易性)が問われる。単なる置き換え、単なる寄せ集めなどの「ありふれた手法」、角を単に丸くしたり一部を削除したりするといった「軽微な改変」に当たると審査官が判断すれば、登録は認められない〔図1〕。

〔図1〕「置き換え」などは登録を認めず
〔図1〕「置き換え」などは登録を認めず
審査基準案に示された登録が認められない建築物の意匠の例。図に示した「置き換え」は意匠の構成要素の一部を他の意匠などに置き換えることをいう。ありふれた手法や軽微な改変は独創性が認められない(資料:特許庁)
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内装は統一性も要件

 基準案はまた、内装の意匠登録における要件として、(1)店舗・事務所その他の施設の内部、(2)複数の意匠法上の物品、建築物または画像により構成されるもの、(3)全体として統一的な美感を起こさせるもの、と定義した。意匠法上、意匠は「視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されており、通常の使用状態で利用者が視認できない範囲は除く方針。審査は建築物と同様、新規性と創作非容易性の2つの観点で行われる。

 特許庁は審査基準や審査の運用について、20年1月から全国で説明会を開く。