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 台風19号の影響で庁舎が浸水した茨城県大子(だいご)町は、2020年2月に着工予定だった新庁舎の計画の見直しに入った。現庁舎だけでなく、隣接する新庁舎の予定地も浸水したため、敷地の変更を含めて計画の再検討が必要と判断した。新庁舎は実施設計の大詰めを迎えていた〔図1〕。

〔図1〕新庁舎の建設予定地は浸水想定区域内だった
〔図1〕新庁舎の建設予定地は浸水想定区域内だった
茨城県大子町の新庁舎の外観イメージ(資料:遠藤克彦建築研究所)
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2019年10月14日に撮影した現庁舎。台風19号では、押川(写真手前)や久慈川から越水し、現庁舎の一部や駐車場が約2mの深さまで浸水した。新庁舎の建設予定地は浸水想定区域内で、写真左手にある(写真:日経 xTECH)
2019年10月14日に撮影した現庁舎。台風19号では、押川(写真手前)や久慈川から越水し、現庁舎の一部や駐車場が約2mの深さまで浸水した。新庁舎の建設予定地は浸水想定区域内で、写真左手にある(写真:日経 xTECH)
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 町が19年3月に公表した基本設計図書によると、新庁舎は直接基礎による鉄骨造の地上2階建てで、延べ面積は約3500m2。建設予定地は久慈川支流の押川に面した町有地だ。町のハザードマップによると、浸水想定区域内にある。

 なぜ、この敷地を選んだのか。敷地選定の際には、他に2つの候補地があった。1つは民有地で、もう1つは中心市街地から離れた町有地だ。民有地近隣には排水ポンプが設置されているものの、いずれも浸水想定区域内にある。18年1月、町は水害対策を課題に挙げつつ、用地買収が不要な点や中心市街地に近く利便性が高い点などを考慮し、現在の予定地を選んだ経緯がある。

過去には基本設計も見直し

 町は同年6月に公募型プロポーザルで遠藤克彦建築研究所(東京都港区)を設計者に選定。同社は浸水対策として1階をピロティ形式の駐車場、2~3階を執務室などとする構成を提案し、これを基に基本設計を進めた。ところが、18年12月の選挙で経費削減などを掲げた現町長が初当選。設計を見直すことになった。

 具体的には、ピロティを中止して施設を2階建てにするなどしてコスト削減を図る代わりに、過去の浸水高さなどを考慮し、1階の床を押川の堤防よりも60cm高く設定した。そのうえで、設備スペースを屋上階に配置する計画とした。実施設計は、この計画に基づいて進んでいた。

 大子町総務課庁舎建設準備室の田上直樹主事は、こう説明する。「実施設計中の案で建てた新庁舎が台風19号に見舞われたとしても、数字上は1階までは浸水しなかったと思われる。だが、低い位置にある駐車場などは水に漬かる恐れがある。救助活動への影響は少なくない」

 今後、町は再検討を経て19年度中にも方針を固める考えだ。既に遠藤克彦建築研究所などと話し合いを始めている。