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 大手企業グループで国家資格の不正取得が再発した。パナソニックは11月27日、連結子会社のパナソニック環境エンジニアリングとパナソニックコンシューマーマーケティングで、社員37人が施工管理技士などの資格を不正に取得していた疑いがあると発表した。

 空調システムや水処理・給排水システムの施工などを手掛けるパナソニック環境エンジニアリングでは、施工管理技士や監理技術者の資格を持つ社員316人のうち、22人(30資格)に不正取得の疑いがある。

 電気・空調設置工事などを手掛けるパナソニックコンシューマーマーケティングでも、これらの資格を持つ社員279人のうち、15人(18資格)に不正取得の疑いがあるという。どのような資格を不正に取得していたかは、調査中として公表していない。

 問題発覚のきっかけは、パナソニック環境エンジニアリングによる社内調査だ。2019年末以降、大和ハウス工業などで施工管理技士資格の不正取得が発覚したことを踏まえて調査したところ、実務経験年数を満たしていない社員が不正に資格を取得していたことが判明〔図1〕。20年7月22日に国土交通省に報告した。

〔図1〕大企業による施工管理技士資格の不正取得が相次いだ
企業名 概要
大和ハウス工業 社員の内部通報で発覚。退職者を含む社員371人が、合計445資格を不正に取得していた。不正があった現役社員を主任・監理技術者として16現場に配置した
西武ホールディングス 傘下の西武建設と西武造園(子会社を含む)で、退職者を含む社員65人が施工管理技士資格を不正に取得していた。不正があった社員を3現場に監理技術者(現場代理人兼任)として配置した
水道機工 子会社の水機テクノスを含め、社員106人が実務経験を満たさず施工管理技士資格を不正に取得。元取締役が受験指導で、実地試験における経験記述対策として、受験者自らが経験していない工事の記載を推奨していたことも判明
2019年末以降、大手企業グループで施工管理技士資格の不正取得が相次いで発覚している。国土交通省はこうした問題を受けて、再発防止策を打ち出したばかりだ(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

 これを受けてパナソニックは、自社やグループ会社で自主調査を実施。すると、パナソニックコンシューマーマーケティングでも同様の問題が発覚した。同社では07年度以降、一部の社員が会社の指示で資格を不正に取得した疑いがある。不正取得の詳しい経緯は調査中だとして明らかにしていない。パナソニックは、グループ全体を対象として原因究明や再発防止策の提言を担う第三者委員会(委員長:丸の内総合法律事務所の川俣尚高弁護士)を設置した。

過去の教訓生かせず再発

 パナソニックグループでは、過去にも資格の不正取得問題が起こっていた。06年に、パナソニックシステムソリューションズ社において、施工管理技士121人(198資格)、監理技術者127人(145資格)の不正取得が発覚したのだ。

 パナソニック広報部は、「当時、証拠に基づいて実務要件を満たしているかチェックするなどの再発防止策を全社に通達した。今回、グループ内で問題が再発したのは、取り組みを徹底できていなかった結果と受け止めている」とする。

 施工管理技士の不正取得を巡っては、国交省が再発防止策を打ち出したばかりだ。同省の「技術検定不正受検防止対策検討会」(委員長:遠藤和義・工学院大学副学長)は20年11月10日、「理解不足による申請ミスの防止」「虚偽申請の抑止」の2つの観点から9つの再発防止策を提言。これを踏まえて同省は順次対策を講じる方針を示している。