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 木に囲まれた空間で柔らかく音が響く──。桐朋学園(東京都調布市)は3月22日、「桐朋学園宗次ホール」(同)の竣工式と特別演奏会を開いた〔写真1〕。建物のコンセプトは「木が織り成す音楽の場」。CLT(直交集成板)による折板構造で、現しとした世界初の音楽ホールだ。

〔写真1〕楽器をイメージした木製ルーバー
〔写真1〕楽器をイメージした木製ルーバー
上は桐朋学園宗次ホールの外観。木製ルーバーは楽器の弦をイメージした。右は構造イメージ。音楽ホールは燃えしろ設計で木造の準耐火構造としてCLT現しにし、講義室やレッスン室が入る教室棟を耐火構造とした(写真:日経アーキテクチュア、資料:隈研吾建築都市設計事務所の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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 デザイン監修を手掛けた隈研吾氏は「世界のコンサートホールの歴史に、1つの名を刻んだのではないか」とコメントした。

 桐朋学園宗次ホールは、「桐朋学園音楽部門仙川新キャンパス計画」の第2期として整備された。第1期では木造4階建て校舎が2017年5月に完成。都市部で2件も非住宅の木造建築が並ぶ貴重な例といえる。

 桐朋学園宗次ホールは木造、一部鉄筋コンクリート造。地下1階・地上3階建てで、延べ面積は約2400m2だ。講義室やレッスン室が入る教室棟と、音楽ホールで構成する。音楽ホールは天井高さ約10m、スパン約17mの大空間を確保した。

 基本設計とデザイン監修を隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)、実施設計・監理と施工は前田建設工業・住友林業共同企業体が担当した。

「別棟扱い」で準耐火構造に

 敷地は準防火地域に位置し、建物の延べ面積が1500m2を超えるため、耐火建築物または同等以上の延焼防止性能を確保した建築物とする必要があった。

 しかし、耐火建築物にするとコストが高くなるため、「別棟扱い」と呼ばれる1951年の住宅局建築防災課長の通達を適用した。

 別棟扱いとは、建物の主要構造部で耐火構造とした部分と、主要構造部の全部または一部を木造とした部分とが、3m以上の距離を空けて防火上遮断されているといった条件を満たせば、別棟とみなすものだ。2008年の技術的助言では引き続き有効と通知が出されている。

 結果的に、教室棟を耐火構造とし、音楽ホールを燃えしろ設計で木造の準耐火構造とした。