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 札幌市の大通公園に面した場所で、高層木造ハイブリッドホテル開発計画「大通西1丁目プロジェクト(仮称)」が3月16日に着工した。三菱地所が同月26日に発表した。

 建物は地下1階・地上11階建てで、最高高さは45m〔図1〕。高層ホテルで、木造と鉄筋コンクリート(RC)造の混構造を採用するのは国内で初めて。国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の補助金を活用する。21年夏に竣工、同年秋に開業予定だ。

〔図1〕高耐力木造壁ですっきりとした客室に
〔図1〕高耐力木造壁ですっきりとした客室に
外観完成イメージ(資料:三菱地所)
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9~11階で木造の客室内観イメージ。耐力壁が荷重を面で支えるので、柱や梁が張り出さない客室が可能となった(資料:三菱地所)
9~11階で木造の客室内観イメージ。耐力壁が荷重を面で支えるので、柱や梁が張り出さない客室が可能となった(資料:三菱地所)
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低層部で採用した型枠材詳細イメージ(資料:三菱地所)
低層部で採用した型枠材詳細イメージ(資料:三菱地所)
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 建物の構造は地下1階~地上7階をRC造で、8階をRC造と木造の混構造、9~11階を木造とする。8階以上は1時間耐火、7階以下は2時間耐火。延べ面積は約6160m2で、ホテルの客室数は合計130室を予定している。設計・監理は三菱地所設計、施工は清水建設が担当する。

 純木造とした9~11階の上層部では、床にCLT(直交集成板)、外壁と間仕切り壁に、高耐力の枠組み壁を使う。枠組み壁は、中規模建物向けに、三菱地所がMoNOplan(東京都千代田区)と共同開発した工法だ。

 高層木造の場合は耐力壁に大きな引張力や圧縮力がかかる。そこで木造耐力壁の端部をタイダウンと木口連結金物で補強し、それらの力を負担できるようにした。壁倍率は15~25.5程度。また面で荷重を⽀えるので、柱形や梁形が出ない客室にできるというメリットもある。

型枠を残して天井仕上げに

 中低層部のうち3~7階は三菱地所がケンテック(東京都千代田区)と共同開発した、配筋付きの製材型枠を天井に使う。型枠材は、特許出願済みの新技術だ。

 仕組みは、製材木板にトラス筋を⼀体化させて型枠をつくり、その上からコンクリートを打設するというもの。型枠材を解体せずに、そのまま客室天井の内装仕上げに活用できる。型枠設置後の配筋と、型枠解体の2工程を省けるので、工事の簡略化と短工期につながるという。ローコストでありながら客室を木質化できる利点もある。

 三菱地所広報部の中嶋めぐ実氏は、「計画段階では、商品性と経済合理性のバランスを考慮して検討を進め、最上部3層を純木造にすることが最適だと判断した。だが、敷地形状や容積率などの条件によっては、全層木造とすることも⼗分に可能だ」と説明する。