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 安田不動産(東京都千代田区)が東京・神田錦町で、サウナを核とした文化複合施設「神田ポートビル」を開発した。印刷会社の精興社(東京都青梅市)が所有していた築56年の旧社屋で耐震補強とリノベーションを実施。4月26日に全面開業した。

 建物は地下1階・地上6階建てで、鉄筋コンクリート造。改修後の延べ面積は約2980m2だ。デザイン監修はバカンス(東京都世田谷区)と須藤剛建築設計事務所(東京都豊島区)、改修工事の設計・施工は飛島建設が担当した。

 地下1階にサウナを備え、地上1階に写真館など、2、3階に「ほぼ日の學校(がっこう)」の教室スタジオ、4~6階に精興社が入居する〔写真1〕。サウナを入れるため、地下1階と地上1階だけ公衆浴場に用途変更した。

〔写真1〕街に開くことを意識したデザイン
〔写真1〕街に開くことを意識したデザイン
地上1階と地下1階をつなぐ大階段(写真:安田不動産)
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サウナの休憩スペース(写真:安田不動産)
サウナの休憩スペース(写真:安田不動産)
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神田ポートビル外観。既存の入り口をふさいで、大きく開放できる引き戸などを新設した(写真:安田不動産)
神田ポートビル外観。既存の入り口をふさいで、大きく開放できる引き戸などを新設した(写真:安田不動産)
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 改修では地上3層の壁を増し打ちして補強。地上1階の床スラブには穴を2カ所開け、1つは地下へと続く大階段、1つは地下の休憩スペースに外気を取り込む給気口とした。

「知」とウェルビーイングで誘引

 安田不動産は神田錦町エリアで1990年代から小中規模のビルなどを開発。近年は街づくりプロジェクトにも力を入れ、19年に同ビルを買収した。

 企画では、まず地域の歴史に着目。神田錦町に東京大学などの発祥の地があったため、「知」が集まる施設を目指すこととした。

 例えば、ほぼ日が展開する「ほぼ日の學校」は、古典やスポーツ、料理など様々なジャンルの授業をアプリで届けるものだ。神田ポートビルのスタジオは授業を収録する他、勉強会や読書会などのサロンとしても利用していく。

 さらに同ビルでは、都心で暮らし、働く人の「ウェルビーイング(実感としての豊かさ)」の向上を図るためにサウナを誘致した。周辺はオフィスビルが立ち並び、夜や休日になると人通りが少ない。そのため同ビルでは夜も明かりをともし、サウナが街のコミュニティー拠点となるようにする。

 施設名の「神田ポートビル」は、生活者の「港」として地域コミュニティーを育む場所になってほしいという願いを込めて、ほぼ日の糸井重里社長が付けた。安田不動産開発第一部第一課の芝田拓馬氏は、「ビルができて街にクリエイターが増え、人の流れも変わってきた実感がある」と話す。