住友不動産は7月1日、東京・西新宿の新宿住友ビル低層部に「三角広場」を開業した〔写真1〕。築46年の超高層ビル足元の有効空地を、ガラスの大屋根と壁で覆った無柱のアトリウム空間だ。同社によると、特定街区制度の有効空地を改修で屋内化した初のプロジェクトとなる。
住友不動産ビル事業本部の宮川享之・新宿事業所長は、「三角ビルの愛称で親しまれた超高層ビルを残したまま、にぎわいを取り戻す。イベントを開きやすい全天候型にこだわった」と話す。時間を限定して一般に開放し、イベントスペースとしても活用していく予定だ。
新宿住友ビルは、地下4階・地上54階建てで高さは約210m。建築基準法旧38条の認定を受けて1974年に竣工した。三角広場の新設は、既存ビルの大規模改修事業の目玉だ。併せて制振補強を施し、大臣認定を再取得している。
事業としては、周辺街路とのバリアフリー接続や災害時の一時滞在機能などの公共貢献によって、16年に国家戦略特区の認定を受けている。同年、特定街区の都市計画を変更し、17年9月に着工。有効空地の屋内化が実現した。
事業主体である住友不動産が基本構想・総合監修を担い、基本・実施設計を日建設計、実施設計・施工を大成建設が手掛けた。
既存の超高層と構造を分離
新設した三角広場の延べ面積は約6500m2で、既存ビルを挟んで北側と東西側の計3カ所がゆるやかにつながる。イベントスペースはこのうち約3250m2だ。最大で約2000人を収容できる。最も大空間となる北側には、地上1~2階にあったスポーツクラブと車寄せを解体し、平土間と最大天井高約25mの吹き抜け空間をつくり出した。
既存ビルの躯体への負担を最小限に抑えるため、ガラスの大屋根の構造体は、地上部のエキスパンションジョイントで既存ビルと分離。柱は、既存ビルの外周部に残した地下壁と新設した躯体の上に立てた。アトリウム側壁のガラスカーテンウオールは、全て屋根架構からつり下げている。大屋根の立体形状は、都市計画で定められたドーム状の高さ規定に沿って決めたものだ。
三角広場直下の地下1~2階には、新宿住友ホールがリニューアルオープンした。飲食・物販店など計26店舗が入居し、6月15日から順次オープンしている。