全541文字

 東京・紀尾井町の角地に、ガラスで覆われた15m角のコンクリートキューブが出現した〔写真12〕。高低差がある敷地の1階ピロティにある、多角形の4本柱がキューブを地上約3.6mまで持ち上げ、建物に浮遊感を与えている。「紀尾井清堂」と呼ぶこの建物の発注者は一般社団法人倫理研究所で、設計は内藤廣建築設計事務所が手掛けた。

〔写真1〕打ち放しコンクリートの曲面トップライト
〔写真1〕打ち放しコンクリートの曲面トップライト
緩やかな曲面でつくられたトップライト。建物は地下1階・地上5階建て、延べ面積は約1290m2。構造は鉄筋コンクリート造、一部プレストレストコンクリート造、鉄骨造だ(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕風を通すガラススクリーン
〔写真2〕風を通すガラススクリーン
ガラス同士に約50mmの隙間を設けて風が通るようにした。繊細なディテールを追求し、サッシやシールは用いていない(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
1階ピロティ内観(写真:日経アーキテクチュア)
1階ピロティ内観(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 特徴は、“用途未定”であること。「思ったようにつくってください。機能はそれに合わせて後から考えます」という依頼で計画は始まった。「大規模開発や商業建築の“外”にある建築を目指した」と内藤氏は説明する。

 コンクリートを原始的な素材と捉え、「縄文的な」キューブを、「弥生的な」ガラスで被覆することをコンセプトとした。ガラススクリーンには厚み30mmの高透過強化合わせガラスを用い、DPG工法(点支持)を採用。ガラス同士に50mmの隙間を設けることで、風が通り抜ける半屋外空間をキューブの外周にまとわせた。

 キューブ内は通路と階段が続く4層吹き抜けの空間だ。トップライトから光が差し、お堂のような静謐(せいひつ)さがある。トップライトと屋根の間に電動遮光スクリーンを仕込み、昼間でも真っ暗にできる。演奏会などにうってつけに見えるが、確認申請上の用途は事務所としている。