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 KADOKAWAが埼玉県所沢市で建設中の複合施設「ところざわサクラタウン」で、中核となる「角川武蔵野ミュージアム」が完成し、8月1日にプレオープンした〔写真1〕。図書館と美術館、博物館を融合した地上5階建ての文化施設で、大地から隆起した岩のような外観が特徴だ。10月までのプレオープン期間中は、1階の「グランドギャラリー」や「マンガ・ラノベ図書館」などを見学できる。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所、設計・施工は鹿島が手掛けた。

〔写真1〕大地から隆起した「巨大な岩」
〔写真1〕大地から隆起した「巨大な岩」
角川武蔵野ミュージアムの外観。巨大な岩をモチーフにした建物で、高さ約30mある外壁の石には中国・山東省産の花こう岩の板材を約2万枚使用している。延べ面積は1万2000m2(写真:日経アーキテクチュア)
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 岩のような外観は、61面の三角形を組み合わせた多面体だ。三角形の面は、幅70cm、高さ50cmの中国産の花こう岩の板材約2万枚で構成する。使用した石の総量は約6000m2、重さは約1200tに上る。館長を務める編集工学者の松岡正剛氏は、このミュージアムを「有角建築」と称した。

 隈研吾氏は、「人工的ではなく、自然がつくり上げたイメージの建築を目指した。物質の“生(なま)さ”をそのまま表現しようと、自分の中で振り切れた建築だ」としたうえで、「私の代表作になるだろう」と自信を見せた。

圧巻は高さ8mの「本棚劇場」

 ミュージアムの中で松岡館長が絶賛する空間が4階にある2層吹き抜けの「本棚劇場」〔写真2〕。日本独特の「違い棚」を組み合わせた高さ約8mの巨大な本棚に囲まれた空間だ。「武蔵野の地層のように積み上がる本棚を目指して、松岡館長と試行錯誤を繰り返すなかで『違い棚』にたどり着いた」(隈氏)

〔写真2〕5万冊を所蔵する「本棚劇場」
〔写真2〕5万冊を所蔵する「本棚劇場」
「本棚劇場」の様子。高さ約8mの巨大な本棚に囲まれた空間で、約5万冊の書籍を所蔵できる。2020年11月のオープン時にはプロジェクションマッピングを上映する予定(写真:日経アーキテクチュア)
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 ところざわサクラタウンは、所沢市とKADOKAWAが共同で街づくりを進めている。所沢市が市有地の有効活用を進めるなかで、2014年に旧所沢浄化センター跡地をKADOKAWAに売却して所有権を移転。同社は書籍製造と物流を一体にした工場、オフィス、ホテル、神社などの建設を進めており、20年11月に全面開業する予定だ。