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 群馬県富岡市で9月5日、市の景観重要建造物に指定された「富岡倉庫」を耐震改修して再生した店舗が開業した〔写真1〕。3棟のうち県道沿いに立つ「3号倉庫」の小屋組み部分に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をあやとり状に張り巡らせて耐震化した。改修設計は、隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)が担当した。

〔写真1〕温度で伸縮しないCFRP材を採用
〔写真1〕温度で伸縮しないCFRP材を採用
3号倉庫の内観。耐震補強では、基礎梁や鉄骨柱、ひも状のCFRP材などを組み合わせた。CFRPは温度によって伸び縮みしない性質を持つ(写真:安川 千秋)
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 3号倉庫は木造平屋で、建築面積は約300m2。1900年に現在の富岡市役所前に移築されたが、当初の建築年は不明だ。

 補強ブレースには、小松マテーレ(旧小松精練)の製品「カボコーマ・ストランドロッド」を採用した。「富岡は製糸の歴史を持つ街なので、倉庫の薄暗い空間に白く繊細な“あやとり”が浮かび上がるようなイメージでデザインした」と隈研吾氏は言う。

梁に固定したチタン板に接合

 耐震補強に当たり、まずは地中に500mm角の基礎梁を埋めた。その後、100mm角の鉄骨ムク材の柱を立て、梁の間に直径9mmのCFRP材を張って軽やかに仕上げた〔図1〕。

〔図1〕建物の妻側を一部減築
〔図1〕建物の妻側を一部減築
耐震計画を示した図。建物の妻側は、一部減築して人が通れるスペースをつくった(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
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 苦心したのが、梁との接合部だ。梁に約0.2mm厚のチタンシートを巻きつけ、チタンの板を固定。その板に、チタンパイプで覆ったCFRP材の端部をねじで差し込む形とした。

 炭素繊維の比重は鉄の約4分の1、比強度は約10倍に匹敵する。構造設計を担当した江尻憲泰氏は、「CFRP材は軽い上にたわみが少なく、腐食しにくい。既存の木梁に負担をかけないためにも、CFRP材やチタンといった軽い素材を補強に使う方法は、理にかなっていた」と語る。

 残り2棟の倉庫も隈氏によるデザインで順次、改修を施す。隈氏が設計した富岡市役所の広場と連携させ、にぎわいを生む。