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 首長の交代や建設予定地の所有権問題などに振り回されて“迷走”を続けた徳島市内の新ホール整備事業。県は9月19日、「徳島文化芸術ホール(仮称)整備事業」の公募型プロポーザルで、熊谷組を統括企業とする共同企業体(以下、熊谷組JV)を優先交渉権者に決定した〔図1〕。

〔図1〕花びらが舞うように配置したテラスが特徴
〔図1〕花びらが舞うように配置したテラスが特徴
熊谷組JVが提案した新ホールのイメージ。テラスを複数配置することで、イベント時だけでなく、日常的な居場所として利用されるホールを目指した(資料:石上純也建築設計事務所)
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 JVの構成企業は、熊谷組、石上純也建築設計事務所、IAO竹田設計、アクト環境計画、ピーエス三菱、野村建設工業。新ホールの建設にはその他に佐藤淳構造設計事務所や永田音響設計、関西舞台などが協力チームとして参加する予定だ。

 熊谷組JVが提案した施設は地下1階・地上5階建てで、延べ面積は約1万4000m2。施設の北側に約1950席の大ホール、中央にエントランス広場、南側に小ホールを配置する〔図2〕。石上純也氏は9月18日の公開プレゼンテーションで、「“箱”ではなくランドスケープをつくる。複数のテラスを設けることで、施設全体で多様な活動が生まれる」と説明した。

〔図2〕複数のテラスが各機能を結びつける
〔図2〕複数のテラスが各機能を結びつける
上は新ホールの配置図。下は大ホールの内観イメージ。平面的には凹凸、断面的には高さの違いを生むことで、上質な音響をつくり出すという(資料:上は熊谷組JV、下は石上純也建築設計事務所)
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 審査委員(委員長:妹島和世・横浜国立大学大学院教授)は熊谷組JVの提案に盛り込まれた、「ランドスケープをつくる」「多様性を生み出す」といったコンセプトを評価。その一方で、構造や施工方法などの実現可能性に対する質問が相次いだ。

 県文化・未来創造課の担当者は「審査委員から引き続き助言をもらいながら、実現に向けた議論を進める」と説明する。県は2021年10月上旬に熊谷組JVと設計業務契約を結ぶ。大ホールは26年8月、小ホールは27年3月の開業を目指す。